私は趣味程度の朝鮮半島ウォッチャーでありますが、このところ目立ったニュースがなく、このブログでも以前ほどネタを振ることがなくなりました。目立ったニュースがない1つは日本と韓国の関係が安定していること、北朝鮮の弾道ミサイルによる挑発も以前ほどの話題にならなくなったことがあると思います。
弾道ミサイル発射実験は23年度は18回あったのですが、今年は今のところ11回で、日本政府は発射の度に「外交ルートを通じて北朝鮮に抗議」が繰り返されています。6月に北朝鮮を訪問したプーチン氏との「契り」以降、北朝鮮は戦力の質の向上を目指し、ロシアからの指導を受けていると思われます。一方、ロシアへ弾薬や武器の供給を行うと共に派兵もあるやに聞いておりました。10月6日にウクライナとの戦争の前線に派遣された北朝鮮将校6人が死亡したという報道がありましたが、韓国国防省はそれでも北朝鮮が引き続き派兵する公算は高いとみているようです。
つまり北朝鮮はロシア絡みのことで忙しい、私はこう見ています。
そんな折、金与正(キム・ヨジョン)氏が久々に報道に表れ、韓国の無人機が領空侵犯し平壌上空まで飛ばしたと主張、これをネタに久々のお下品、お下劣な与正節を披露しています。「もう一度やったら宣戦布告とみなす」というのですからその挑発ぶりは相変わらず尋常ではありません。ではこの無人機は誰が飛ばしたのかについては韓国国防省もイマイチ歯切れが悪く明白な否定はしていないのが現状であります。
さて、北朝鮮ネタがあった時是非とも皆さんとシェアしてみたいと思っていたのが金正恩氏の娘、ジュエ氏のメディアへの露出度の高さと正恩氏の溺愛ぶりであります。正恩氏がリ ソルジュ氏と結婚したのが2009年。ジュエ氏は13年に生まれたのではないかとされます。正しければ現在11歳程度で写真から見る顔だちからしてもそんなものだろうと思います。
軍事パレードなどでは夫人のソルジュ氏よりも娘が上位になのは「ペクトゥ(白頭)の血統」だからです。つまり純血主義と言えます。一方、囁かれているだけで事実関係がわからないのですが、正恩氏には長男と第三子(性別不明、女児かも)がいるとされます。ただ長男については情報が極めて限定されています。英国デイリーメール紙は「小さくて色白で痩せている」と報じています。この報道の信ぴょう性は割り引くとしても、金家の思想に照らし合わせれば長男を優遇するのが当然であり、そうしていないのはできない何かがあるとみています。長男は年齢からすると現在13-4歳ぐらいのはずで仮に幼少の頃に似ていなくてもそれぐらいの年齢になれば面影は出てくるものです。一部では将来の権力継承の隠し玉とする意見もあるようですが、私はそれは考えすぎだとみています。
では正恩氏がなぜ、ジュエ氏をここまでパブリックに露出させるのか、これが大きな疑問です。いくら何でも日本でいう小学校高学年の娘を連れまわすのは尋常ではありません。また娘は学校にも行かず、外の世界とは完全隔離された生活をしています。愛新覚羅溥儀が紫禁城に18歳までいて下界のことを全く知らなかったのと同じ状態とも言えます。
では正恩氏はなぜそこまでしてジュエ氏を寵愛するのかですが、私がもっともあり得ると思っているのは正恩氏の健康不安説だとみています。外見はどう見ても不健康の極み。そして相当のストレスを常時ためており、それを怒りや処刑、ロケット発射で発散するという日々であり、そんな生活が長く続くとは私には思えないのです。そこで保険的にジュエ氏に教育を施しているのだろうとみています。
実際に正恩氏に何かあればジュエ氏に指導力はないので「摂政」を置くことになり、それはたぶん与正氏になるのだろうとみています。すると女子二人がトップになり、果たして北朝鮮軍部がそれに従順な姿勢を示すか、と言えばこれまた疑問符が3つぐらいつくのです。
近代朝鮮半島の歴史で女性で一時的にせよ指導的立場をとったのは閔妃だったと記憶しています。1800年代の終わり、国王、高宗の正妻である閔妃は独裁で思うがままの悪政で弾圧を繰り返したことがあります。あの時のことはまだ伝え聞く人もいると察します。
個人的には北朝鮮は方向感をいずれ失うと考えています。あまりにも基盤が弱すぎるし、中国との関係も見えない壁が生じているように感じます。
地球上に残された数少ない鎖国的国家に北朝鮮と欧州のアルバニアがあったのですが、同国が「指導者ホッジャの呪縛」から解放されたのち、現在はすっかり美しい欧州の人の観光地として栄え始めています。アルバニアの人たちは当時のことを「ひどい時代だった」「思い出したくない」と述べています。北朝鮮の金家による統治も一種の洗脳なので、あるきっかけで解放されるものです。「指導者金正恩の呪縛」から解放されれば北朝鮮もアジアのアルバニアに転じられるのではないでしょうか?
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年10月15日の記事より転載させていただきました。