なぜ香川県の三豊には優秀な若者が集まってくるのか?

民泊施設の視察で、投資家コミュニティー資産設計実践会メンバーと香川県の三豊に来ています。

三豊は父母ヶ浜が写真撮影スポットとして有名になり、10年前と比べ、観光客数が100倍に増えた人気のスポットを抱えています。

しかし、周辺に宿泊施設が少なく、最近は一棟貸の宿泊施設が次々にオープンしています。

そして、この街のもう一つのユニークな点は東京の大学を卒業した若者が移住してきて、新しいビジネスを次々と立ち上げていることです。

なぜ、縁もゆかりもない三豊で起業するのか?

それは、三豊には大きなチャンスが眠っているからです。

日本の他の地方と同じように、この街にも人口減少や高齢化の問題が押し寄せています。農業従事者が減り、手入れされず荒れてしまった農地もたくさん残っています。

解決しなければならない課題がたくさんあっても、多くの地域では、外部からの移住者を積極的に受け入れず、地元の保守的な高齢者が実権を握り、根本的な改革に後ろ向きです。

三豊は若手経営者が連帯し自由に活動することで、新しいビジネスが生まれやすい土壌が醸成されています。

20代前半の若者が移住してきても、活躍の機会を提供し、先輩の経験者が資金面でバックアップしたり経営のアドバイスをしたりしています。

活躍する若者が増えるにつれ、三豊の魅力が多くの人に知られるようになり、さらに優秀な若者がやってくる好循環が生まれています。

東京にない地方の強みは、家賃や生活費等のコストが低く、スタートアップがしやすいことです。また、低コストのビジネスであれば、損益分岐点が低く失敗の確率も下がります。

地方活性化の成功モデルとして、多くの自治体が視察にやってくる三豊。他の地方で簡単に真似ができると思いませんが、日本地方創生のヒントがたくさん詰まっているユニークな街だと思います。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年10月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。