外国人向け免税は廃止すべき

外国人旅行者への免税は廃止すべきです。そのほうが税収も増えて、国内経済の活性化に繋がります。

外国人向け免税、空港払い戻し型へ 日本国内の転売防止 日経新聞

政府はインバウンド(訪日外国人)向けの免税制度を悪用する例が相次いでいるため、対策を強化する。商品購入時に消費税を払い、出国時に国外への持ち出しを確認してから払い戻すリファンド型を導入し、安く買った商品が日本国内で転売されるのを防ぐ。免税品購入額が年1兆円規模に達するなか、2025年度の改正に向けて制度設計やシステム構築を急ぐ。

全国免税店協会の会員店は「手口がどんどん巧妙になっている」と訴える。売り場の判断で不正利用を防ぐのには限界があるという。不正購入を差配するグループが学生などを雇って購入店舗を指示するケースが目立つ。

手間がかかるだけで無駄が多い。そこまでして外国人旅行者に便宜を図る必要はないです。英国も廃止しています。

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まず、その分税収が増えます。そして税関の仕事も削減できます。無論民間の免税手続きを担当する店舗などの職員も減らせます。これは今後少子高齢化が進む中で大変必要だと思います。その分の人員を他に使うべきです。

そうすれば外国人観光客が減ったり、土産物の売上がへるのではないか、という声もあるでしょう。英国では外国人旅行者が減ったという話もあります。じつはぼくも昨年久しぶりにロンドンにいって買い物をしてびっくりしました。

英VAT免税制度廃止の影響 トラベルジャーナルオンライン

昨年1月から旅行者におなじみの英国の付加価値税(VAT)免税ショッピング制度が、欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)に合わせて廃止されている(VATは日本の消費税に相当)。往時、ロンドンのヒースロー空港では有名ブランド店で買ったカシミヤのコートなどを国外に持ち出す検査を受けてリファンドの申請をする日本人がよく見られたものだ。免税制度廃止の理由は、ブレグジットで欧州大陸からの旅行者が免税資格を利用できる外国人になり、関税局の負担とコストが増大する懸念からだとされている。多くはVAT20%が免税される酒やたばこが目的で、アラブの高額消費者とは異なる旅行者である。

19年にEU域外からの旅行者は英国で178億ポンドを使った。そのうち30億ポンドは(VAT免除対象の)物品ショッピングで、残りの148億ポンドはVAT免税対象外のホテル、飲食、運賃、文化、娯楽など非リテール(サービス部門)に使われVATを約30億ポンド増やした。英国の魅力喪失でこの非リテール部門の消費が15%落ち込むと、財務省が徴収を予測するVAT収入4億ポンド以上が失われると推計される。免税措置廃止の直接の影響として、英国中の商業地区と空港で2万人の仕事がなくなるだろう。欧州域内で競争が激化している英国の空港も旅行者減少を懸念する。

ですが英国と我が国では状況が全く違います。欧州域内の移動はいまや国内移動と大差ないです。移動は隣の県にいくようなものです。ですから域内の各国が免税があれば失う顧客もいるでしょうが、我が国の場合は周囲にそのような国がない。

そして付加価値税も欧州では20パーセントあるいはそれ以上ですが、我が国では半分の10パーセントに過ぎない。これも大きな違いです。

更に観光客の多くは日本製のものを買って帰りたい。であれば、安さだけが問題になるわけではないでしょう。更に申せばタバコにしても他国よりも相当安いので、免税で買い漁るメリットはたいしてないでしょう。

それに一点ものであれば日本に買いに来るしかない。例えばオタクのコレクター向けの商品などは他国では中古含めても手に入りにくいし、入手できても遥かに高価です。高級時計の中古にしても、日本で買えば偽物はないという安心があります。

そして円安や低インフレもあって、他国よりも物価が相当やすいです。滞在費も、飲食費も桁違いにやすい。

これらの環境を鑑みて、なおかつご案内のように少子高齢化が進む中で貴重な労働力を免税以外の「実業」や更に付加価値の高いビジネスで雇用すべきでしょう。

少なくとも免税をなくした場合、それによって増加する消費税収、免税廃止による買い控えを精査してどちらが、より税収が高いか、また免税廃止による、余剰人員がどの程度でるのかということを精査すべきです。

それ筋論でいえば外国人観光客は治安の良さや清潔など我が国が税金をつかって整えているインフラを利用しています。であれば相応の税負担をすべきです。それにやすいからくるような観光客を血眼になって増やすと、金がなくて、悪さをする不良外人も増えます。英国やフランス、スイスなどは物価が高くても観光客が来る魅力があり、リピーターも多い。我が国はその方向を目指すべきです。

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軍事研究 2024年 11 月号

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編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2024年10月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。