秋田に見える日本の将来

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新幹線でくりこま高原駅から盛岡経由で秋田駅までやってきました。秋田駅周辺には、東京からわざわざやってくる価値のある飲食店がたくさんあり、今回そんなお店巡りをするためにやってきました。

到着と同時に早速出かけたのが、駅の近くにある永楽食堂です(写真)。こちらでは東京では手に入らないような珍しい秋田の日本酒がたくさん揃えられ、しかも価格はとてもリーズナブル。

お料理も、鯨やハタハタのような地元との食材を使った美味しいお料理もたくさん揃っており、店内は常に満席。活気に満ちています。東京にある居酒屋よりも店内の人口密度は高そうです。

ところがお店を出て駅に向かうと、状況は一転。全く人の気配がなくなります。夜の8時位の早い時間でも、東京の深夜2時のような静けさです。

秋田市最大の歓楽街と言われる駅から徒歩20分ほどの川反(かわばた)にも行ってみましたが、こちらも閑散としており、閉店してテナント募集中の建物が並んでいました。もはや歓楽街のイメージは無く、何店かの飲食店が細々と営業している感じでした。

秋田は日本の中でも人口減少のスピードが最も早い地域ですが、今後東京23区などの都心部を除く日本全体が同じ状況になっていく事は間違いありません。

人口が減少すると公共交通や商店街などの社会インフラが衰退し、それがさらに街の衰退に拍車をかけていきます。

秋田駅前でもテナント募集のビルがたくさんあって、地元の百貨店は閉店していました。この状況がこれから更に加速していくことになります。秋田の閑散とした街の状況は決して他人事ではないと思いました。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年10月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。