東北電力は、29日午後7時ごろ、宮城県の女川(おながわ)町にある女川原子力発電所2号機を起動し、東日本大震災で停止してから約13年半ぶりに再稼働させました。この原子炉は、事故を起こした東京電力福島第一原子力発電所と同じ型で、同タイプの原発では初めての再稼働となります。
震災で被害を受けた地域の原発が再び稼働するのも今回が初めてです。
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正常化への一歩とはいえ、その道のりは長いものです。東電柏崎刈羽6号機は再稼働の準備が整っているものの、地元合意が得られず未定のままです。また、稼働可能な原発の数も限られており、西日本との差は依然大きい状況です。
再稼働の遅れは、国民の財産と資源の非効率な使用を招いていました。過剰なリスクゼロの追求から脱却することが日本の課題です。女川原発2号機の再稼働により、2025年度には火力発電の燃料費が年間約600億円削減できる見通しです。
日本には未稼働の原発が20基あり、再稼働すれば1~2兆円の燃料費削減が見込まれます。安全な再稼働の推進は、高額な電気料金に苦しむ国民生活と日本経済の回復に不可欠です。
原発の効果はシンプルで明確、かつ非常に大きいものです。また、CO2排出量も削減されるため、気候変動対策にも大きな効果が期待できます。
電力は産業と暮らしの基盤であり、安価かつ安定的な供給を確保することは国の責任です。小林鷹之氏も、今後の電力需要の増加を見据え、安全性を前提としつつ「可能な限り原発依存度を低減する」という現行エネルギー基本計画の文言を削除すべきと述べています。
感情的に原子力を止め続けた結果、電気料金の高騰が国民の負担となっています。全国の33基の原子炉をフル活用しなければ、電気料金の引き下げは難しい状況です。
われわれはいつになったら再エネ推進の過ちを正せるのでしょうか。
エネルギー輸入で失われた国富は戻ってきませんが、今からでもできることはあります。