〈データでみる衆院選公約〉防衛財源、道筋示さず 防衛・国防費「日本500億ドル:中国3000億ドル」 自民、「守る」強調も増税時期不明/立民は安保法制「違憲部分を廃止」 日経新聞
政府は27年度に防衛費を国内総生産(GDP)比で2%まで高める防衛力強化を進めている。
これは本当ですか?
この記事では今回の自民党の公約では岸田政権時に掲げられていた防衛費をGDP比2パーセントに上げるという公約が継承されなかったということが述べられていません。まさか日本を代表する大新聞、それも経済専門紙が前の公約を読んでいないのでしょうか。
前の公約から何が変わったかということも重要です。ですが既にご案内いように、自民党が公約から防衛費をGDP比2パーセントを外したことを報じた新聞は僕の知る限りありませんでした。この件に言及したのは知りうるかぎり、ぼくだけです。
新聞テレビが報じない自民党の防衛費GDP比2パーセント公約の撤回 Japan In-depth
日経は自民党にこの件を確認したんでしょうか?
岸田文雄政権は法人税、所得税、たばこ税を増税して27年度に計1兆円強を確保し防衛費に充てる方針を決定したものの、増税開始の時期を決められなかった。
首相は15日のNHK番組で年末の税制改正論議の中で防衛増税の開始時期に決着を付ける姿勢を示したものの、自民党の公約には時期の明記を避けた。9月の自民党総裁選で複数の候補が増税の停止や先送りを主張するなど、党内の意見が割れているためだ。
防衛費をどのレベルにするのか現在の5年で43兆円を維持するのか、将来的にGDP比2パーセントにするのか。あるいは財政状況を鑑みてGDP1パーセントまで戻すのか。自民党の公約を見る限りそれはわかりません。
本来そういうことをやるのが記者クラブの政治部記者の仕事でしょう。ところが記者クラブ、政治部記者は政策には興味がなく、政局ばかり追っています。
防衛予算にしても額ばかり問題にしていますが、その実際の使われ方については全く無知だし、勉強しようとも、知ろうともしません。だから他国の5倍10倍で装備調達や維持費が払われていても気にしません。これは安全保障界隈の人たちも同じのなのですが。
定量化された数字でしか軍事が理解できない。
メディアを代表して官庁の取材機会を抱え込んでいる記者クラブには官庁の監視能力がありません。癒着しているし、専門知識がないからです。会見前に質問提出して官僚が作った解答を大臣が読み上げるシステムに疑問すら抱いていない。
対して今回の選挙で赤旗は自民党は非公認候補に2千万円だしたというスクープを出しています。これが今回選挙結果に大きな影響を与えたようです。
ぼくは本来政党の機関誌を一般メディアと同様に会見などにいれるのはどうかと思いますが、現状の記者クラブを見る限り赤旗を記者クラブに入れたほうがよろしいのではないかと思います。既に一部の会見では赤旗は会見に出席できるようになっています。
日本の政治が変わらない原因のひとつは記者クラブが官庁の取材機会を囲み込んで、ブラックボックス化して、外部からみえないことをいいことに、当局と癒着してることです。
記者クラブは国民の知る権利と権力監視の敵でしかありません。
ジャーナリズムを名乗るのは詐欺です。ところが野党ですら記者クラブのあり方を問題にするとことがありません。不思議な話です。ヤクザ並に記者クラブが怖いのでしょうか。
【本日の市ヶ谷の噂】
防衛医科大学校病院救急部長清住哲郎は、2010年のアデン湾での派遣では臨床にあり、東北方面防衛衛生学会で発表もしていたが、翌年に胸部外傷の説明ができないことが露呈。その後舞鶴病院長に就任したが異例の早さで昇級したのか、教授の資格があって防衛医科大学での教授をしているのか謎が多い、との噂。
■
東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
「自衛隊員の手榴弾事故」現状の対策は不十分な訳旧式の危険な手榴弾が訓練でも使用されている
Merkmal(メルクマール)に以下の記事を寄稿しました。
航空自衛隊のT-7後継機取得 「官製談合」疑惑が再燃するなか、透明な入札は実現できるのか?
「石破首相 = 軍事オタク」は本当か? 防衛知識ゼロの他政治家が国を守れるのか? 石破氏を長年知るジャーナリストが“真実”を語る
月刊軍事研究に「ユーロサトリでみた最新MBTの方向性」を寄稿しました。
Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました。
European Security & Defenceに寄稿しました。
JGSDF calls for numerous AFVs within Japanese MoD’s largest ever budget request
東京新聞にコメントしました。
兵器向け部品の値段「見積り高めでも通る」 防衛予算増額で受注業者の利益かさ上げ 「ばらまき」と指摘も
東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
海上自衛隊の潜水艦メーカーは2社も必要あるか川重の裏金問題で注目される潜水艦の実態
編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2024年10月31日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。