起業あるある「周囲の反対」どう切り抜ける?(横須賀 輝尚)

大企業に勤めていても副業が推奨される今、起業に興味を持つ人は増えています。そんな中、常に注目されているのが資格の取得。すでに資格を持っている人はもちろん、資格を取って独立したい人や資格に興味がある人に必読のQ&Aを、経営コンサルタントで士業(特定行政書士)でもある横須賀輝尚氏の著書『資格起業バイブル』から、再構成してお届けします。

あなたに近い人は反対する人が多い

Q.:独立開業したいのですが、家族から反対されました。開業してもいいのでしょうか?

何年も独立起業の計画を練っていますが、妻に反対されて独立できません。子供がまだ小さいので、お金の面での心配もわかるのですが……。また、同僚に独立の相談をしても、「この不景気に独立起業をするなんてばかげている」と取り合ってくれません。私としてはどうしても独立したいのですが、反対を押し切って開業してもよいでしょうか?

独立起業を100パーセント全面支援する家族はあまり存在しません。それは、あなたの独立に反対する奥様のように、大切な人が心配だからです。

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もちろん、自分自身の生活がかかっているということもありますが、今の収入で平穏な生活が送れているのであれば、普通の感覚ならまず独立を止めるでしょう。「何もそんなギャンブルをすることはない」と普通であれば考えるはずです。

なかには「何があっても成功させましょう」と前向きに考えてくれる家族もいると思いますが、こういった家庭は少数派です。たくさんのコンサルティングをする中で、こういった「どうやって家族を説得すればよいか」という相談も多数受けており、多くの方がこうした思ってもいない意外な伏兵によって独立開業を阻まれています。

反対される多くの場合、「説明不足」が原因です。こういった独立開業という大きな決断なのに「絶対に大丈夫だから」というような根拠のない説明で済ませてしまおうとしていることが多く見受けられますが、これでは納得も安心もできません。

重要なのは「根拠のある説明」です。残念ながら意気込みだけでは理解してくれないことが多いので、ひとつひとつ丁寧に説明していくことが重要になります。これが説明できないとなれば、そもそも独立起業の計画にまだまだ何か欠落したものがある可能性があります。

では、どうしたら「根拠のある説明」ができるのか。と、その前に「相談相手」についても先に触れておきましょう。

素人ではなく「経営者」に相談しよう

同僚が「やめておけ」ということですが、この反対の理由の半分は心配から来ています。そして残りの半分は「何の根拠もない制止」です。「根拠のない制止」とは、わかりやすくいえば「不確かなアドバイス」です。なぜなら、あなたの同僚は何かの仕事のスペシャリストかもしれませんが、独立開業の経験がなければ「無経験者からの助言」ということになり、少なくとも独立起業に関して適切なアドバイスができない可能性が高いからです。

つまり、もし独立開業の相談をして、的確なアドバイスがほしいなら「独立開業のプロフェッショナル」に相談する必要があります。たとえば、すでに何年も士業事務所を経営している先輩士業や実力のある経営コンサルタントであれば、あなたに対して的確な指導をしてくれるでしょう。

お金の説明から逃げないことが重要

話を元に戻しましょう。どのようにすれば、家族の理解を得ることができるのか。結論からいえば、「数字を元にした根拠のある説明」が必要になります。

まずは副業的に動ける範囲で小さなビジネスをして実際に稼いでみましょう。単なる計画では、「実際はやってみないとわからない」と却下されてしまいます。ですから、セミナーでもコンサルティングでも、実際の士業の仕事でも小さく営業をしてみて、「お金を稼げる」というところを見せないとなかなか納得してもらえないものです。もちろん、会社の就業規則などに注意しながら、ということになりますが、最近は副業を認める会社も多いので、あなたの会社の規則を調べてみましょう。

それでも納得してもらえない、理解してもらえないとしましょう。そのような場合には2つの方法があります。

ひとつは、ひとまずの生活費を潤沢に用意しておくことです。そうすればある程度の期間は大丈夫だと安心してもらえます。

もうひとつは、期間を決めて独立することです。たとえば、2年間真剣にやって成功できなければ自営業はやめてサラリーマンに戻る。そういう時限的な約束をすることもひとつの説得方法です。

家族の理解を得る行為は、あなたの本気度が試されている。

加えていえば、家族の反対がある場合には2つの原因が考えられます。ひとつはコミュニケーション不足、もうひとつは普段の生活態度です。

私も23歳で独立起業すると決めたとき、父親と真剣に話し合いました。どれだけ真剣に独立起業を考えているのか、どういう算段で仕事を取っていこうと考えているのか。20代での成功事例はあるのか。行政書士がどんな仕事なのか。一晩中、思えば父親とそれだけ深い話をしたのは初めてだったかもしれません。

最終的に「そこまでいうなら真剣にやりなさい」と応援してくれることになりました。このことで父をはじめ両親や家族とも向き合うようになり、感謝していますが、多くの場合こうした深い対話をせずに「わかってくれない」と本人がすねてしまうことも多いようです。

また、これは深読みかもしれませんが、独立開業することに恐れがあり、反対してもらうことで安心しているということもあるかもしれません。

そして生活態度です。普段、あなたの家族はあなたが家庭にいるときの生活態度と給料の額くらいでしかあなたを判断していません。ですから仕事は真面目にやっていても、普段が不精者ではあなたの言葉も説得力に欠けるというものです。生活態度に思い当たる節があるとすれば、そこから改めていくのも最初のステップとしては最適かもしれません。

ところで、独立開業の際は家族や親族の助けを借りたくない、という方も多いようです。しかし、できれば家族をはじめあなたに近い人にはぜひ頼ってください。もしあなたの家族や親友が独立開業するので助けてほしい、といわれたら喜んで手をさしのべるはずです。

逆にあなたに相談なしに事を進められたらどうでしょうか。きっと寂しい気持ちになるはずです。私の父も今でも時々仕事の案件をもってきてくれます(本当に数年に一度くらいですが)。それを「余計なことをするな」というのか「ありがとう」というのか。私は素直に感謝して受け取ればよいと考えています。

あなたも少しずつ行動を起こし、ぜひ独立実現に向けて頑張ってください。

横須賀 輝尚 パワーコンテンツジャパン(株)代表取締役 特定行政書士
1979年、埼玉県行田市生まれ。専修大学法学部在学中に行政書士資格に合格。2003年、23歳で行政書士事務所を開設・独立。2007年、士業向けの経営スクール『経営天才塾』(現:LEGAL BACKS)をスタートさせ創設以来全国のべ1,700人以上が参加。著書に『資格起業家になる! 成功する「超高収益ビジネスモデル」のつくり方』(日本実業出版社)、『お母さん、明日からぼくの会社はなくなります』(角川フォレスタ)、『士業を極める技術』(日本能率協会マネジメントセンター)、他多数。
会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業 | 横須賀輝尚 https://www.amazon.co.jp/dp/B08P53H1C9
公式サイト https://yokosukateruhisa.com/

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編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2024年10月1日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。