中山美穂さんがお亡くなりになりました。「世界中の誰よりきっと」はカラオケ定番、私もこの曲にはお世話になりました。54歳、入浴中だったようですが、その日にはコンサートも予定されていた中での話です。人の命は本当にわからないものです。中山さんのようにある日突然その日はやってくることもあります。そしてやり残したことも片付けられず、話しておきたい人とももう二度と接触することはできません。だからこそ、先送りせず、できるすべての力を出し切って悔いのない日々を送ることしか人は出来ないのだと改めて思います。合掌
では今週のつぶやきをお送りします。
ビットコイン狂騒曲
ビットコインの価格がついに10万米ドルを超えました。私が超えるだろうと予想していたのはビットコインの妥当価格など存在しないからです。これが20万ドルと言われてもそれが高いか安いかは誰もわかりません。採掘限界があるビットコインの最大の売り手は採掘業者です。私はその最大手の一社の株を結構な株数、保有していますが、彼らが毎月発表する採掘量は半減期を迎えるたびに減っていき、その代わりビットコインの価格が上昇し辻褄が合うようになっています。ある意味、特殊な需給関係が作られています。そこを理解しないとビットコインなぜ狂騒するのかわかりにくいでしょう。普通のモノの価値観とは全く異なる世界だということです。
さて、ビットコインの暴騰に連れられて実はアメリカの株も相当に買われています。私の懸念はむしろこちらの方が行き過ぎではないかと感じます。世界のマネーがアメリカに吸い寄せられている、そんな絵図が私には見えるのです。私の住むカナダで元中銀総裁が昨日「カナダ経済の現状は非常に悪い」と苦言を呈しました。移民による人口が増えた分だけGDPが嵩増ししただけで国民の富は増えていないと。カナダの経済関係の報道の最近の流行り表現は「ジャンボ利下げ」。ジャンボなんて日本で昔使っていた言葉だよなぁ、と思わず懐かしんでしまいますが大幅利下げしないと景気が失速するということです。
一方アメリカも12月に引き続き利下げはすると予想しています。問題は年明け、トランプ氏が就任したら経済がどうなるかという点です。今の株式市場もビットコインも12月のホリディシーズンで浮かれているだけで1月に入ればトランプ氏と何らかの形でお付き合いしなくてはいけません。彼の言動はある程度予想できる一方、剛腕さは以前ほどではない、つまり大統領経験者としての落ち着きの一方、粗削りさがなく落としどころが見えやすくなる気がします。そうすると「期待外れ」という面の方が出てきやすくなるので株式市場には私はネガティブな気がします。政権運営はこの5年、10年で大きく変わりました。極めて困難なかじ取りを求められるでしょう。
韓国、フランス、シリア…いったいどうなる?
一週間でこれだけニュースがてんこ盛りになると世界でいったい何が起きているのだろうと思いたくなります。昨日のブログのタイトルで使った「分断社会」が如実にこれらの国々で起きており、これがさらに広がることも当然予想できます。ドイツなどその予備軍でしょう。韓国、フランス、シリアの問題を一言で片づけるのは容易ではないですが、私としてできる限りわかりやすくまとめてみます。
韓国は政治停滞が招いた悲劇。尹大統領は硬派でより原理原則主義なのだろうと察します。ただ韓国は昔から分裂社会であり国民の同調圧力も強く本件は泥沼の始まりだとみています。フランス議会は異様。結局党利党略で内閣不信任案を支持したのは左派と右派という皮肉。ルペン氏は中道派を壊すことだけに専念しており、マクロン氏を困らせるなら国がグダグダになることも躊躇しない私利私欲に近いものです。シリアは正直ヤバい。今回はアサド氏が詰む公算が高く、ロシアはほとんど支援しない、いやできないでしょう。数日中にロシアとシリア政府軍を結ぶ補給路は絶たれます。ただ誰がこの国を支配しても大混乱必至、国民はどこに逃げるのでしょうか?
世界の各地で考えもしなかったことが起きる中、日本だけは「関係ない」という見方は出来ません。少数与党ではモノが決められず、政治は停滞気味になるでしょう。そういう亀裂は必ず大きくなっていくもの。国民民主は見方を変えれば亀裂を広げる役目をしているのですが、誰もそうとは思っていないところが気になる点です。2025年の日本の政界の予想はまったくもって予知不能であります。政治の分断は社会の分断につながるので今後は要注意だと思っています。
どうする日産
私が日産関係者ならば「匙を投げる」ところにあると思います。今回の危機は90年代後半の同社の抱えていた労使間のトラブルなどと違い、経営側の失策そのものです。にもかかわらずリストラで9000人も削減されるのはお門違いにもほどがあると思います。私はゼネコン入社3年目の頃、日産の関東地区の大半の工場の業務担当をしたことがあり、愛着があるのです。栃木工場の6.5キロに及ぶテストコースの工事の一部も手掛けたし、そこを走る車に同乗させてもらったときは興奮しました。そこで生まれたGTRは日産の看板車です。
会社経営とはその会社のプロダクトやサービスでどれだけ需要を喚起し、人々のハートを先取りできるかにかかっています。自動車産業は成熟産業だけにややもすればEV、HV、PHVなど新しい形態のクルマが出てきたときの先回りの対応に最大の経営的センスが求められるところです。ところが日産の場合、資本関係問題に長く振り回され、剛腕のリーダーが出なかったことで内部崩壊しており、このまま自滅するのではないかという懸念があるのです。
クルマは最後、売れてなんぼ。なのにラインアップに欲しいものが何もない、いやタダでもいらないような車ばかりでどうビジネスをするのでしょう?かつては面白い選択肢はあったのですが、6-7年前ぐらいから急に似たようなSUVばかりでセダンや高級車、ハードな走りができるような個性豊かな車種が出ず、全部中庸。おまけにHVがこの時代にないというのは致命的。来春出ると言われていますが、遅すぎ。中国の自動車メーカーは中国と東南アジアで必ず日産潰しをしてくるでしょう。北米市場はもっと厳しくメキシコ関税問題も重くのしかかります。もう社長交代では済まない気がします。
後記
テイラースウィフトと言えば世界の歌姫、大統領選にも影響を与える世界で最も注目されるエンターテイナーですが、その彼女のコンサートツアー最後はここバンクーバーで今日から3日間行われます。街は正直、スウィフト現象で様々な関連イベントが各地で行われ今日からダウンタウンは各所で道路閉鎖、ネットで見える転売チケットは12万円から高いものでは170万円。そこまでしていくか、と言えば「もちろんだよ」と平気で言うカナダ人の熱さとは金で経験が買えるなら何でもあり、なのでしょうか?いやはや恐れ入りました。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年12月7日の記事より転載させていただきました。