経営者は「人」よりも「お金」を社員にしなさい

とあるきっかけで企業経営者を対象にしたグループ研修に参加することになり、終日研修会場で座学を体験しました。

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普段は壇上に立って講師として話をする機会が多いので、逆の立場になると新鮮で、今まで見えなかった受講生からの視点で新たな気付きを得ることができました。講座の内容とは直接関係ありませんが、セミナー会場の受付や席の配置といった運営方法や、講座のタイムマネジメントの方法など、良い点は取り入れていきたいと思いました。

講座は1テーブル6名でグループを作り、講義とディスカッションを組み合わせて進みます。

全員が経営者でしたが業種や企業規模も異なっていて、経営者の悩みが人それぞれであることが良くわかりました。

それなりの受講料を支払って業務から終日離れてセミナーに参加しているくらいですから、経営者として成果を出している優秀な方々だと思いますが、資産運用に関しての知識や情報を持たない人が多いのが意外でした。

ビットコインとアメリカの個別株しか投資したことが無くて、NISAを活用していないという経営者の方がいたので、来年からは毎月30万円ずつ投資信託の積立をすることを勧めておきました。果たして実践してくれるでしょうか?

経営者として社員にどうやってモチベーションを高めて働いてもらえるかに日々頭を悩まし、このような経営者研修に参加しているのだろうと推察しますが、私に言わせれば社員に働いてもらうよりも「お金」に働いてもらう方が簡単です。

「人」よりも「お金」を社員にしなさいということです。

お金は人間のように感情を持たないので適切な指示さえ出せば、言われた通り忠実に働いてくれるからです。そして、一旦指示を出せば、債券や不動産であれば土日祝日も平日と同じように働いてインカム収入を稼いでくれます。

また、資産運用を経営に取り入れることによって、事業による収益だけではなく収入源を多角化することができます。本業の不振を投資からの収益で補うこともできるのです。

更に、経営者が経営の一線から手を引いた後でも、お金はずっと働いてくれます。安定した収益を生む投資対象を保有していれば、引退後の収入も得ることができます。これは経営者に限りません。

多くの社員を抱えて人のマネジメントをしながら業務推進している一般的な経営者とは対照的に、私は1人で仕事をしお金を社員にして働いてもらう仕組みを作ることばかり考えています。

人事管理や人材育成といった課題とは無縁の私のやり方は、会社経営としてはかなり異質であることを再認識しました。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年12月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。