この時期になると気になるのが読売新聞が毎年発表する今年の10大ニュース。24年度国内編は1位が能登地震、2位が大谷サン、3位がパリ五輪となっています。
しかし、もし読売新聞社内編があるとすれば、渡辺恒雄氏死去が最後に飛び込んだ最大のニュースに違いないでしょう。正に巨星逝くであります。氏をモデルにした小説を手掛ける人も出てくるでしょう。それぐらい日本の政財界に影響を与えた方です。
実を言うと私がまだ高校生ぐらいの頃、どこからか「読売の渡辺さんは毎日2万円の料亭飯を食べているらしい」という話を聞き、その印象だけが今日までずーっと残っていました。代表的昭和人の火がまた一つ消えました。
では今週のつぶやきをお送りします。
冴えない株価だが、掉尾一振あるのか?
日経平均のチャートを見ると9月下旬から完全なレンジ相場になっています。下がだいたい37700円程度、上が40200円です。既にこの3か月でこのレンジを上から下まで4周しています。
レンジ相場になった理由は10月の選挙がきっかけかもしれません。岸田氏の政権末期は先行き不安が渦巻き、石破政権になったら少数与党の不安が広がります。日本経済にも主体性があまりなく、付和雷同でアメリカの株価や為替動向など二次的な要素に振り回され国内独自の判断材料が少なかったこともあります。
ただ、残り1週間ちょっとを残すのみとなった今年の最後は割と上に向かいそうな気がします。チャートは悪くありません。また欧米は週明けからほぼクリスマス休暇に入り年明けまで機能しないのでアジア市場が主体となります。
個人的には4万円は厳しいかもしれませんが、39000円台後半ぐらいまで行ける気がしています。ただし、為替は要注意でトレーダーがほとんど参加していない中で真空地帯を駆け抜けるリスクはあります。特に今日発表されたアメリカPCEではインフレ率低下がみられたので利下げ促進⇒円高になっています。
冴えないのは株価と共に日銀で、植田総裁の今回の政策決定会合の記者会見はハト派に転じたのかと思わせました。パウエル氏がタカ派的発言だったので好対照となり、円安が進んだとも言えます。もともと次の利上げは1月という予想が多いのですが、植田氏が賃上げ状況を見たいと言っているので1月ではなく3月頃に先送りしたような印象もぬぐえません。
20日に発表になった消費者物価指数は生鮮品を除く総合が2.7%上昇、生鮮品を入れると2.9%上昇で事前予想を上回っています。主な理由は政府による電気ガスの支援縮小とコメ代の上昇。物価上昇がこびりつく可能性大なので賃上げ⇒利上げの予想は動かず、株価もインフレするので掉尾の一振はあり、と見ます。
日本の政治の駆け引き
与党税制改正大綱が決定しました。注目の103万円の壁は123万円。あれ、178万円じゃないの?という点は、少し前のこのブログでもそんなわけにならないと申し上げました。政治家の使う日本語は難しいのです。どのようにでも解釈できる言葉遊びが自民党や官僚は大好きなのです。それを信じた玉木さんが青いのか、わかっていながら国民にアピールするために6度も協議をさせたのか、真意は玉木さんに聞いてみたいものです。
ただ、今回の決定プロセスを見ると「玉木は調子こいとるな。あいつが図に乗らないよう抑制的にせよ」という天の声があったような気がします。
おまけに今回、自民は対策として維新を交渉ネタに使うことも画策しました。つまり自民から見れば野党連合の引きはがし作戦とも言えます。
すっかり冴えなくなったのが立憲で、野田さんは船橋に引っ込んでしまったのか、声が聞こえなくなりました。多分、野田さんにとって想定外の出る幕ナシの展開でタイミングを見ているのだと思いますが、選挙当時の勢いはありません。
ただ、私は解散総選挙の可能性が無くなったわけじゃないとみています。少数与党ですし、自民党の時代ではないので選挙ごとに自民色が少しずつ薄れていくという流れを予想しています。
ところで、石破氏が1月にアメリカに行き、トランプ氏と会うことを調整していると報じられています。日程調整はかなり難しいと思います。大統領就任日が1月20日。現状それより前の日程で調整しているとされますが、かなりタイトなスケジュールなので短い会談になる気がします。
果たして石破氏の持ち味を出し切れるのか、トランプ氏も落ち着いた雰囲気の中で会談できるとは思えないので個人的にはそこまでして会談しなくてもよいのにな、とは思います。安倍昭恵氏効果だろうとは思いますがこれを生かすも殺すも石破氏次第、そしてその会談内容が国会での大きな議論になることは言うまでもありません。
北九州市のマック事件に思うこと
何とも嫌な事件が起きたと思います。マックで並んでいた中学生2人を突然殺傷した事件です。犯人は捕まりましたが、産経によると「現在は1人暮らしで、周辺住民によれば軍歌のような音楽を大音量で鳴らし、昼夜問わず叫び声を上げるなど、奇行が目撃されていた」とあります。
なぜ、この中学生たちにまっしぐらに向かっていったのか、専門家の意見も分かれるところですが、軍歌を大音量ということは右翼的な思想犯かもしれず、そうだとすれば規律を考え、中学生がこんなところで何をしているのだ?ということだったのでしょうか?
一方、千葉では不動産業を長く営んでいたご夫婦が殺害されました。知人とされる人物が自宅に放火、8軒を焼く火事となるも本人はクルマで逃げ、なぜか田んぼのあぜ道にずっと止まっていて不審に思った農家の通報で捕まっています。
こちらはまだ殺人の方の自白はしていませんが、仮に犯人だとすれば怨恨のように思われます。犯行のやり口が破れかぶれ型でこれはマック事件と重なります。若者の闇バイト問題が読売今年の10大ニュースの5位に入っていますが、いい歳をした方の無茶で自虐的な犯罪も目にすることが増えてきたと思います。
想像するにそれだけ生きにくい世の中になって来たのではないかと考えています。それも経済的格差というより精神的に病んでいる方が多く、一人住まいの男性中高年層が過度のストレスを抱えたままで話し相手もおらず、自己抑制機能を失ったような感じに見えるのです。
そういう方は誰とも接しようとせず、話しかけても堅い殻に閉じこもり、自己防御的な性格で自分を批判していると勝手に思い込むなどネガティブとなり、一触即発的な方は確かにいます。この30年の閉塞的で停滞した社会を反映しているような気がします。同様の事件には今後も要注意だと思います。
後記
今年の目標の一つが50冊の本を読むこと。おかげさまで今読んでいるのが55冊目。今回はリヒャルト ゾルゲの研究本。プーチンが憧れたゾルゲ、そしてゾルゲになれなかったプーチンともされます。ゾルゲのスパイ活動ゆえに日本の戦争と戦後の運命は変わったともされます。その相方は元朝日新聞の尾崎秀美で近衛内閣に入り込んだスパイでありました。
この辺りのいきさつは下手なサスペンスを読むよりはるかに面白く、またスパイだけは現代社会においてどれだけAI化が進んでも絶対になくならない裏の世界です。今年の2つの戦争ではスパイがさぞかし暗躍したことでしょう。スパイ天国の日本は対策が絶対に必要です。目には目を、スパイにはスパイを、です。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年12月21日の記事より転載させていただきました。