絵画やアンティークコイン、ワインといった実物資産には偽物疑惑が常に付きまといます。以前、オークションで競り落とした1950年代のイタリアワインをワイン仲間と飲んだ時、そのフレッシュな味わいから全員が詰め替えられた偽物だと確信しましたが、証明することはできませんでした。
絵画に関しては作家さんが所属するギャラリーから直接購入すれば、贋作(偽物)をつかまされるリスクはありません。昨年、購入した作品も韓国のアートギャラリーに行って、購入した作品の作家さんにもお会いしました(写真)。
絵画の贋作については、かつてこんな話があったと聞きました。
オーナー企業の社長さんが5億円の絵画を画商から購入して自社の応接室に飾っていた。数年後、その社長が亡くなって飾ってあった絵画を鑑定に出したところ、贋作であることがわかったというのです。
この社長さんはインチキ画商に贋作をつかまされたお人好しなアホ社長だと社員は思ったらしい。果たしてそうなのでしょうか?
絵画のような実物資産には不動産のような登記制度がありません。だから応接室に飾ってあった絵画は、その社長さんが5億円で購入した作品とは限りません。
もしかしたら、社長さんは絵画を2枚手に入れて、本物を自宅に持ち帰り、意図的に贋作を飾っていたのかもしれません。
その場合、本物はどこに消えたのかは亡くなった社長しか知りません。もしかしたら売却して現金化されているかもしれません。
今となっては真実がどこにあるのかわかりませんが・・・。
ただ、もしこの社長さんが上記のように売り抜けていたのだとすると、アホではなくかなりしたたかな経営者ということになります。
このように実物資産には、金融資産や不動産には表には出てこない「不思議な世界」が存在します。
金融業界出身の真面目な私にとっては驚くようなことが、これ以外にもまだまだたくさんありそうです。
編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年1月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。