地球温暖化を止めるには脱炭素化よりジオエンジニアリングが有効だ

Q. 次の記事を要約してください:


GPT:2024年の世界平均気温は1.6℃上昇し、パリ協定の目標である1.5℃を初めて超えました。この主な原因は、中国やインドでの大気汚染対策によりエアロゾルが減少し、低層雲が減少したため、地表に届く太陽光が増加したことです。

これにより、地球の反射率(アルベド)が低下し、温暖化が加速しました。ピナツボ火山の噴火時にも、エアロゾルの増加で気温が低下したことが確認されています。したがって、エアロゾルを大気中に散布するジオエンジニアリングは、低コストで温暖化対策として有効である可能性があります。


ジオエンジニアリング(日本経済新聞)

Q. この新しい知見にもとづくと、脱炭素化で温暖化は加速するのではありませんか?

GPT:その通りです。化石燃料の燃焼に伴って排出されるエアロゾル(微粒子)は、太陽光を反射して地球表面を冷却する効果があります。そのため、これらの粒子を削減すると、大気汚染は改善されますが、同時にその冷却効果が失われ、温暖化が一時的に加速する可能性があります。この知見から以下の点が重要です。

  1. エアロゾルの冷却効果の短期的影響:化石燃料の排出規制によりエアロゾルが減少すると、反射による冷却効果が失われるため、気温上昇が加速するリスクがあります。この「短期的な温暖化加速効果」は、気候変動政策を設計する際に考慮すべき重要な要素です。
  2. 化石燃料廃止の長期的利益:温暖化を加速させる最大の原因は、二酸化炭素(CO₂)などの温室効果ガスの蓄積です。化石燃料を廃止することで、CO₂排出が削減され、長期的には温暖化を抑制できます。短期的な温暖化加速と長期的な効果をバランス良く評価する必要があります。
  3. ジオエンジニアリングの活用可能性:エアロゾル減少による温暖化加速を緩和するため、人工的にエアロゾルを大気中に散布するジオエンジニアリングが注目されています。例えば、硫酸塩粒子を成層圏に放出することで冷却効果を模倣する技術が研究されていますが、その影響や副作用について慎重な検証が必要です。

結論として、化石燃料廃止によるエアロゾル減少は短期的には温暖化を加速させる可能性がありますが、長期的な視点では不可欠な対策です。その影響を緩和するためには、再生可能エネルギーの推進や技術的な補完策が不可欠です。また、この知見を基に、より包括的な気候変動政策が必要であることが示唆されます。

Q. 脱炭素化で温暖化するのでは、石炭火力の廃止などの規制は好ましくないのでは?

GPT:化石燃料の削減が必ずしも温暖化防止に直結しない側面があることは確かですが、それでも石炭火力の廃止や規制を進めることが長期的に見て重要である理由がいくつかあります。それを以下に整理します。

  1. 温室効果ガスは長期的に滞留
    • 化石燃料の燃焼によって排出されるCO₂は、長期的に地球の気温を上昇させる主な要因です。エアロゾルが短期的に冷却効果を持つとしても、温暖化の根本原因である温室効果ガスを削減しない限り、気候変動は不可逆的に進行します。
    • エアロゾルは大気中に一時的に存在するのみで、温室効果ガスの削減を遅らせる理由にはなりません。CO₂は大気中に数百年にわたり蓄積されるため、早期の削減が必要です。
  2. 石炭火力の問題点
    • 健康被害と環境汚染:石炭火力はCO₂だけでなく、硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、PM2.5などの汚染物質を大量に排出し、人々の健康や環境に深刻な影響を与えます。
    • エネルギーの非効率性: 石炭火力は他の発電方法に比べて効率が低く、同じエネルギーを得るために大量の燃料を消費します。再生可能エネルギーや原子力発電と比較して持続可能性が劣ります。
  3. ジオエンジニアリングとの補完
    • エアロゾル削減による短期的な温暖化加速が懸念される場合には、ジオエンジニアリングが一時的な緩和策として役立つ可能性があります。
    • ただし、これは石炭火力を存続させる理由にはなりません。ジオエンジニアリングはあくまで補完的な技術であり、温室効果ガス削減と並行して行うべきです。

Q. 費用対効果を考えると、脱炭素化よりジオエンジニアリングのほうがいいのでは?

GPT:ジオエンジニアリングは脱炭素化と比較して費用対効果が高いとされる側面がありますが、これを脱炭素化の代替手段とみなすことにはリスクがあります。以下に、ジオエンジニアリングの費用対効果とその限界、脱炭素化との比較を整理します。

  1. ジオエンジニアリングのメリット
    • 低コスト・即効性:例えば成層圏エアロゾル散布は、数十億ドルのコストで実現可能とされています。これは、再生可能エネルギーの導入や化石燃料廃止に必要なコストに比べてはるかに低いです。
    • 数年以内に地球の冷却効果が得られるため、短期的な気温上昇を抑制する即効性があります。急激な気温上昇や極端気象の頻発に対する緊急措置として有効です。
  2. ジオエンジニアリングの限界とリスク
    • 不確実性と予期せぬ影響:地域ごとに異なる気候変動が発生し、干ばつや洪水などのリスクが高まる可能性があります。
    • 一度技術を導入すると、停止時に「急激な温暖化」が起こるリバウンド効果が懸念されます。
    • 倫理的・政治的課題:地球全体の気候を操作する技術の使用は、各国間での合意が必要ですが、誰がその責任を負うのかという倫理的問題が未解決です。
  3. 脱炭素化の費用対効果
    • 長期的な安定性:脱炭素化は温室効果ガス排出を削減する根本的な解決策であり、気候の安定化を長期的に確保します。再生可能エネルギーのコストは年々低下しており、長期的には経済的な利益をもたらすとされています。
    • 多面的な利点:脱炭素化には、以下のような副次的効果があります:
      – 大気汚染の改善と健康被害の削減。
      – エネルギー安全保障の強化。
      – 新たな産業や雇用の創出。
    • ジオエンジニアリングと脱炭素化の併用の可能性:ジオエンジニアリングは脱炭素化の「補完的手段」として活用するのが現実的です。併用することで、気候変動への即時対応と持続可能な解決の両方を実現できます。

Q. これから発展途上国で脱炭素化が進んで温暖化がさらに加速する場合のオプションとして、国連がジオエンジニアリングを準備すべきではないでしょうか?

GPT:その通りです。これから発展途上国での脱炭素化により大気汚染が減少し、それが温暖化をさらに加速する可能性があることを考えると、ジオエンジニアリングの準備を国際的な枠組みで進めることは合理的な選択肢の一つと言えます。以下の理由から、国連が主導してジオエンジニアリングの準備を進めるべき意義が考えられます。

  1. グローバルな影響への対応
    • ジオエンジニアリングは地球規模で気候に影響を及ぼすため、単一の国や地域が独自に実施するのはリスクが高いです。
    • 国連のような国際機関が主導することで、各国が協調して技術の研究・実施を進める体制が整えられます。
  2. 国際的な規制の必要性:ジオエンジニアリングの実施には、国際的な規制と合意が欠かせません。国連は以下を主導する役割を果たせます:
    • 実施基準の設定:どの技術がどのような条件で使用可能か。
    • モニタリングとガバナンス:実施プロセスの監視や透明性確保。
    • 影響評価:各国や地域への影響を公平に評価。
  3. 予防的アプローチ
    • ジオエンジニアリングを実施するかどうかの決定は慎重であるべきですが、技術の準備をしておくことは「最悪のシナリオ」に備える意味で重要です
    • 大気汚染減少による短期的な温暖化加速が予測される中、技術的な準備と政策枠組みの整備を進めておくことで、迅速に対応する能力が確保されます。

国連がジオエンジニアリングの準備を主導することは、発展途上国での脱炭素化が進む中での温暖化加速リスクに対処するための現実的な選択肢です。ただし、技術的な準備に加えて、国際的なガバナンス、倫理的議論、そして温暖化の根本原因(温室効果ガスの削減)に取り組む包括的な政策が必要です。

池田信夫
新潮社
2024-08-19