防衛省のVTOL無人機開発は失敗する

防衛省 Wikipediaより

「垂直離着陸」の無人機開発、防衛省が25年度着手

「垂直離着陸」の無人機開発、防衛省が25年度着手 - 日本経済新聞
防衛省は2025年度から垂直に離着陸ができる無人機の研究・開発を始める。試作機をつくり、攻撃や輸送、偵察などの任務に使うことを想定して試験する。滑走路がなくても機体の機動的な展開が可能になる。部隊が人的被害を抑えながら任務を遂行できるようにする。垂直離着陸型の無人機は陸上自衛隊の部隊の利用を想定する。航続距離や物資など...

防衛省は2025年度から垂直に離着陸ができる無人機の研究・開発を始める。試作機をつくり、攻撃や輸送、偵察などの任務に使うことを想定して試験する。滑走路がなくても機体の機動的な展開が可能になる。部隊が人的被害を抑えながら任務を遂行できるようにする。

垂直離着陸型の無人機は陸上自衛隊の部隊の利用を想定する。航続距離や物資などの搭載可能重量は今後の設計で設定する。

研究費として25〜27年度分の予算46億円を25年度予算案に計上した。27〜28年度に防衛装備庁や部隊で試験に取り組み、その成果を検証する。成果により量産を検討する。

これは恐らく、軽ヘリコプター程度の規模の機体を想定しているのでしょう。

ですが、失敗する可能性が極めて高い。これがヘリ型なのか、クアッドやプロヘラ偏向型なのかはまだわかりません。

問題なのは、陸自にまともに無人機の運用能力がないことです。使い物にならないFFRSを未だに温存しています。FFRSに関しては、ぼくがそのことを暴露して国会でも問題になり、その後スキャンイーグルが採用されましたが、調達開始まで9年掛かっています。完全に戦力化までまだ時間がかかるでしょう。しかも5GHzが使えるようになるのは今年からです。つまりその周波数帯で無人機を運用した経験もない。

有り体にいえば、靴を履いたことがない未開人が靴を作って売るようものです。本来開発実験団あたりでドローン専門部隊を作って各種ドローンを運用させたりして経験を蓄積すべきです。

既に世の中には様々なVTOL無人機が開発され、実用化されています。そういうものを幾つか導入して、実際に部隊で運用してみるべきです。FFRSやアパッチ、OH-1などの役に立たない部隊を畳めばカネも人もあるでしょう。これらのクズを維持するために予算と人間を浪費しているのが陸自という組織です。

VTOL無人機の一例(編集部)

これでこのクラスの機体を開発するのは、釣りの初心者がいきなりインド洋でマグロの一本釣りのスポーツフィシングに挑戦するようなものです。まずハゼ釣りから始めるべきです。しかもどうせ主契約者は重工各社か日立あたりになるでしょうが、彼らに無人機のノウハウはない。

VTOL無人機開発は先送りして、既存の外国製品を評価し、その中から採用して装備化し、ノウハウを蓄積してから行うべきです。

装備庁や各幕僚監部は自分たちの能力がどの程度か、きちんと自問してから予算を要求すべきです。

【本日の市ケ谷の噂】
自衛隊大好き軍オタさんたちが大絶賛する国産哨戒機P-1だが、その実採用から10年たって大金使って「近代化」と僭称して不具合の改善に取り組んできたが、対潜能力が低い上に、稼働率は3割程度で全くカネをドブに捨ててきたが、鳴り物入りで導入されたIHIの国産エンジン、F7のタービン・ブレードがその主たる要因。現場の部隊から怨嗟の声が絶えない。世界最高のジェット戦闘機のエンジンも開発できると豪語するIHIは10年経っても改善できずに、F7事業は赤字、との噂。

財政制度分科会(令和6年10月28日開催)資料
防衛
防衛(参考資料)

財政制度分科会(令和6年10月28日開催)資料
防衛
防衛(参考資料)


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2025年1月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください