フジテレビ会見要旨:10時間かけて何を語ったのか?

タレントの中居正広氏と女性とのトラブルにフジテレビの社員が関与していたとする週刊誌報道を受けて、フジテレビが二度目の会見を開きました。東京都港区のフジテレビ本社で実施され、午後4時から翌28日午前2時までの約10時間にわたる異例の長さとなりました。

会見には、辞任を発表した嘉納修治フジ・メディア・ホールディングス(HD)およびフジテレビ会長(74)、港浩一フジテレビ社長(72)、遠藤龍之介フジテレビ副会長(69)、金光修フジ・メディア・HD社長(70)、そして新社長に就任予定の清水賢治フジ・メディア・HD専務(64)が出席しました。約400人の報道陣が参加しました。

会見する港浩一社長(左)と嘉納修治フジテレビ会長 フジテレビ会見動画より

1. 会見開始で陳謝

会見の冒頭で、嘉納修治会長は一連の問題に関する責任を取り辞任することを発表し、当事者である女子アナウンサーに対する配慮不足について謝罪しました。また、港浩一社長は、先日(1月17日)実施された閉鎖的な記者会見について反省し、テレビ局として透明性や説明責任を欠いたことを認めました。さらに、今回の問題によって視聴者や取引先に多大な迷惑をかけたことに対し深くお詫びしました。

2. 社員の関与は否定

社内調査の結果、報道で指摘された社員が中居氏の食事会に関与していなかったと結論付けたことを説明しました。ただし、この結論は社内調査に基づくものであり、現在設置された第三者委員会のさらなる調査を待つことになると述べました。

遠藤龍之介フジテレビ副会長(左)と金光修フジ・メディア・HD社長 フジテレビ会見動画より

3. 女性アナウンサーが会食に参加する企業文化

港社長は、過去にフジテレビの女性アナウンサーが番組出演者や関係者との親睦会や会食に同席するケースがあったことを認めました。その際、女性本人の意思が十分に尊重されていなかった可能性を指摘し、自身の配慮不足を反省するとともに、今後は企業文化としてこのような事態を改めていく必要性を強調しました。

また、中居氏との会食に他の放送局のアナウンサーが同席していたとの報道について、全く知らなかったと述べました。調査する必要があると考えているとコメントしています。

4. 嘉納会長・港社長辞任の時期

港社長は、今回の問題に対する責任を感じ、早い段階で辞任を決断していたことを明らかにしました。社内対応や問題の発覚後の混乱を受け、経営トップとして辞任が必要であると判断したとのことです。

5. 広告収入への影響

今回の問題によるスポンサーからのCM停止や撤退の影響について、清水賢治新社長は「現在、影響を精査中であり、具体的な収益減少の規模は未確定」と説明しました。加えて、民放の番組配信サービス「TVer」などの広告配信にも影響が出始めていることを報告しました。また、CMを差し替えた対応に際し、企業への返金の対応を取っていることも明らかにしました。

フジ新社長に就任するフジ・メディア・HD専務清水賢治 フジテレビ会見動画より

6. フジテレビの組織改革の必要性

港社長と清水新社長は、フジテレビ内のガバナンスの改善や企業風土の刷新が急務であると述べました。具体的には、会食や親睦会に関する新たなルールの策定、人権やコンプライアンスに関する教育・研修の徹底を検討中であると説明しました。

7. 旧ジャニーズ問題との類似性

会見では、旧ジャニーズ事務所の問題との類似性についても質問が寄せられました。これに対し遠藤龍之介副会長は、「過去の芸能界問題の教訓を十分に生かし切れなかった」と反省を示しました。さらに、今回の問題が芸能界全体の風土改善にもつながるべきだと述べました。

8. 日枝氏の責任

異例の長時間会見では、日枝久相談役の責任に関する質問が相次ぎました。しかし、経営陣は日枝氏の業務執行に直接的な関与はないとして、明確な回答を避けました。責任分担や役員構成の見直しについては、第三者委員会の報告を待って判断すると説明しました。

日枝久氏 Wikipediaより

10. 信頼回復に向けての新社長のコメント

会見の最後に清水新社長は、「信頼回復なくしてフジテレビに未来はない」と述べ、ゼロからのスタートを掲げました。また、信頼を取り戻すための再発防止策の徹底と組織改革への取り組みを強調し、再生に向けた決意を示しました。

中居正広氏と女性のトラブルを巡り、フジテレビ社員の関与が指摘されていたが、社内調査では関与を否定していましたが、スポンサー75社以上がCMを停止するなど、影響が拡大していました。異例の10時間に及ぶかいけんでしたが、残念ながら収束の糸口は見えませんでした。