マイルとは航空会社がコントロールする「通貨」

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旅行好きなので、マイルを利用する機会は結構あります。ほとんどの航空会社はマイルの仕組みを導入していますが、顧客の囲い込みが目的です。

マイルは単に航空券と交換するだけではなく、通常航空券の運賃との比較から「交換レート」を計算することでよりお得に活用できます。

例えば、画面はある日の羽田→高松のマイル特典航空券の交換必要マイルを表示したものですが、クラスJで片道8500マイルで航空券と交換可能です。こちらのチケットを現金購入しようとすると27,000円程度になっていましたから、「1マイル≒3円」の価値を持つことになります。これは悪くない交換レートです。

高松便のようなあまり利用者のいない国内のマイナー路線の場合、マイルの交換比率を高くする傾向がありマイル利用者に有利になることが多いようです。

また、この表を見ていて不思議なのは早朝の便ではクラスJが8500マイルなのに、普通席が17,000マイルと逆転現象が起こっていることです。理由はわかりませんが、国内だけではなく国際線でもファーストクラスの方がビジネスクラスよりも少ないマイルで交換できることもたまにあるようです。

マイルの世界にも「歪み」が存在するということです。

旅行好きにとってはありがたいマイルシステムですが、交換マイル数の設定は航空会社が設定することができます。もし、マイルの価値を下げようと思えば、交換に必要なマイル数を高くするだけです。航空会社が勝手に交換レートを決められる「通貨」のようなものです。

また航空会社によっては、マイルで交換可能な座席の数を少なくして、マイル特典航空券が手に入りにくくしている場合があります。どこの会社とは言いませんが、マイルを貯めてもほとんど航空券以外のものにしか交換できないのでは魅力も半減です。

マイルは貯めてから「東京⇔ニューヨーク」「東京⇔ロンドン」といったお得感のあるメジャーな国際線をマイル特典で利用するのが魅力的ですが、マイルには有効期限があり、交換比率が今後悪化する可能性もあり、交換したくてもできないことがある。そう考えると、現実的には早めに使った方が結局はお得なことが多そうです。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年1月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。