ひと月ほど前、パリ郊外の映画館まではるばる遠征。映画館行くの10年以上ぶりで、なんかドキドキする。
11月8日、世界中で一斉に公開が始まるIMAX映画、”パリ国立オペラ座バレエ、ルドルフ・ヌレエフ「白鳥の湖」”のプレス試写会。
映画の知識ゼロなので、IMAXが何かも知らないし、もちろん初体験。バレエがIMAXで撮影されたの、史上初なのだそう。
二日間は通常舞台時に、二日間は無観客で撮影し、普段の撮影では実現できない超アップや真上からのシーンなどを撮影して、編集したそう。楽しみ♪
IMAXならではの映像の美しさと音の臨場感がある、って聞いてたけど、普段映画まったく観ないので、違いがよくわからない…
ただ、アップのシーンはすごい迫力で、表情はもちろん、衣装の細部がよくわかるのがとっても興味深い。
アップシーンやカットの切り替えも多めなので、7列目くらいに座ってたらちょっと酔って、途中で少し後ろに移動して楽しむ。
キャストは、セウン(オデット&オディール)、ポール(ジークフリード)、パブロ(ウォルフガング&ロットバルト)。
パブロの表情がピッカピカにいい!彼は元々、表情演技得意なダンサーだけど、その魅力が、映画的カットやアップになると、完全に花ひらく。
ライヴ撮影してた本番舞台も観たけど、こんな感想持たなかった。無観客撮影時の表情がいいんだろうなぁ。
セウン&ポールはもちろんお上手で、表情演技もそれなりにできていて、きれいに楽しく鑑賞できる。
ライヴ舞台とIMAXどちらを観たい?と言われればもちろんライヴを選ぶけれど、ライヴでは絶対に観られない真上からの映像はとても美しく、このカンパニーで50〜60回は観てきた「白鳥の湖」を新鮮な気持ちで観られる、とっても楽しい140分。
上演後、監督囲んで意見交換。これからまだ編集に手を入れるので、いろんな意見聞きたい、とのこと。
以下、オペラ座バレエマニアとしてのどうでもいい雑感。
- 冒頭、オデットがロットバルトに襲われるシーンの衣装が素敵なのを初めて知る。ここ、奥でくらいシーンでオペラグラス使っても衣装の細部までわからなかったけど、実はちゃんと素敵なドレスだった。
- 舞踏会、ライヴと無観客で、コールのダンサーに変更あり。カットが切り替わるたびに、あ、その位置はあの子のはずなのに、と、ちょっと気になる。のは、私があまりにマニアだからなのでしょう。バレエ広報も、”私は全然気づかなかった。ユキノだからよ〜”って。
- ジークフリートが女王様から弓矢もらって蔓を引くシーン、脚がすてきなので引きで観たいのに、顔アップ…。引いてください〜。他にも時々、そこ、映すべきはあちらでしょう、と気になるところがいくつか。
- パドトロワの後半で、ジークフリートが憂いで、席から立って中央後ろに行くシーン、ずっと追いたいのに、カメラはパドトロワに集中。ここ、ジークフリートの心境わかっていいシーンだと思うのだけど。
- 3幕もろもろダンス中、一度ジークフリートが席外して戻ってくるのがライヴ。映画では、ずーっと座ってる。のに、マズルカの途中で席に戻る”ライヴ”のジークフリートがちょっと映っちゃってて、違和感。
映画的、を追求したため、ライヴでの拍手シーンは全カット。でも、音だけ微妙に少し聞こえるのが気になる(これは、全員一致の意見)。
ヌレエフの白鳥やオペラ座バレエ好きはとても面白く観られるし、バレエ初心者は美しいバレエ映画として楽しく観られる、迫力たっぷりのドラマティックな「白鳥の湖」。実際、あー、こういう写し方が映画的なんだろうなぁ、と思うシーンも多々で興味深い。
最初の試写会だったので、これから編集はさらに手を入れるそう。完成品がどんな感じになったのか、もう一度観に行きたいな。
日本は、東映系で11月8日から7日間限定で、東宝が配信。日比谷や新宿でIMAXで楽しめる。
オペラ座バレエファン、バレエファンはもちろん、バレエ興味ない方も、お見逃しなく。きっと楽しめる。そして、パブロ・レガサファンは、必見!
編集部より:この記事は加納雪乃さんのブログ「パリのおいしい日々6」2024年11月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「パリのおいしい日々6」をご覧ください。