首相官邸HPより
日米首脳会談
日本時間で7日から8日にかけて行われた日米首脳会談において、石破茂は日本の対米投資を150兆円規模に拡大することを約束して帰ってきたようだ。アメリカにとっては、この額が最も大きな成果だったのだろう。記者会見では、トランプ大統領が嬉々としてインタビューに答えている。
では、石破茂は150兆円の対米投資以外に何を約束したのだろうか?
外務省発表の共同声明骨子によれば、日米同盟を高みに引き上げることを念頭に、「自由で開かれたインド・太平洋」の実現、辺野古移転と在日米軍再編、対米投資1兆ドル、エネルギーの安全保障強化、対中戦略、対北朝鮮戦略となる。
いずれも安倍元総理時代から踏襲されてきた外交戦略だが、やはり日本にとっても、アメリカにとっても注目されるのが、対米投資1兆ドルだろう。
一昨年年間の対米投資額は7,833億ドルであった日本は、近年、世界でもトップを独走している。2位のカナダとそれほど大きな差は無いのだが、これだけ巨額の対米投資をしているにも関わらず、トランプ大統領がカナダを51番目の州にしようと言ったことでカナダ国民は激怒している。この件については、また別稿で触れたいと思う。
いずれにしても、既に8,000億ドル程度の対米投資を行っている日本が、1兆ドルの対米投資を約束したとしても、実はそれほど騒ぐ話ではない。SNSでは、国内の減税政策を置いてけぼりにして対米投資を膨らませるのは違うと言って騒ぐ人も多いが、実はアメリカを巨大な市場と捉えている企業の対米投資は増え続けているのが実情だ。
JETROが発表している米商務省経済分析局の統計に見ても明らかなように、製造業を中心に対米投資は年々膨らんでいる。
日本ではTSMCやNvidiaなどのIT産業の主軸となるハード面での投資が際立って見える。ところがその本場であるはずのアメリカでコンピュータや電子制御関連の製品に対して対米直接投資は、それほど大きくはない。むしろ、日本のようなアメリカの同盟国に投資が集中しているのは、円安が大きな影響を与えている。
つまり、円安は対米投資を対日投資に切り替えることに寄与している。言い換えるなら、日米安保が揺るがない限り、実は対日投資は増額するのだ。これは日本のGDPの伸びに大きく影響する。
トランプ大統領は日本国内の石破茂の評価に反して、気持ち悪いくらいに石破茂を持ち上げたが、自分の最も大きなお客さんのトップが来たのだから、持ち上げるのは当たり前だ。そこでトランプは、安倍晋三が敷いたレールに乗って外交戦略を立てている外交音痴な石破茂を手玉に取り、まんまとお得意さんから更なる出資金を得ることに成功した。この辺が、石破茂の甘さの現れだ。
果たしてこのことを、何人の日本人が気づいているだろう?何人の日本人が、苦々しい思いでこのニュースを見ていただろう?
私はこの時点でトランプは石破茂を見限ったと考えている。
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以後、
・アメリカの対日戦略と国会論戦
続きはnoteにて(倉沢良弦の「ニュースの裏側」)。