医師への不信感と苦悩の末の選択

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転院の難しさと不信感との闘い

beerkoff/iStock

母は診察後、半ば強引に入院させられた。帰宅する意思を伝えたが、「それはできない」との返答で、強制的に入院を余儀なくされた。不信感を抱いていたため、翌日転院を申し出たが、病院側は「できない」と回答。さらに、画像などの診察情報も速やかに提供できる状況ではなかった。

話が進まないため、地域連携を活用し、かかりつけ医である国立病院への転院を模索した。結果的に、この病院から転院するのに5日間かかった。その間、何の治療も投薬も受けられなかった。「転院する患者には何もできない」という理由からである。痛みや辛さを看護師に訴えても無視され、ようやく処方されたのはカロナール一錠だった。

結論として、医師に不信を感じた場合、入院させるべきではない。もし帰宅していれば、翌日にはかかりつけ医である国立病院を受診できたからだ。この点については、今でも後悔している。

国立病院に転院後、すぐに精密検査が行われた。家族への報告時には、部門責任者と各科担当者3名、緩和ケア担当看護師から詳細な説明があり、できる限りの措置をとってもらった。

当初は、森永卓郎氏が受けていた自由診療を模索したが、黄疸が出てしまった。黄疸の治療も検討したが、術中のリスクを考慮し断念した。高度医療病院である国立病院に長く滞在することは難しく、短期間で緩和ケア専門病院やホスピスを見学し移転先を決定しなければならなかった。

緩和ケア病院でも人気のあるところは1カ月待ち、人気のないところは即入居が可能であった。ただし、「病室を見せてくれない」、「看護師の私語が目立つ」、「患者が見当たらない」、「強引に転院手続きを進めようとする」といった問題も目立った。

家族に同様の事態が発生した場合、緩和ケア病院は早めに選定するべきだと感じた。

24時間滞在可能(泊まりも可)であったため、ホスピスを選択した。しかし、意思疎通ができたのは最初の1週間程度で、最後の1週間は会話もままならなくなった。この時になって、最後の瞬間を意識するようになった。

冬の寒い夜の出来事

冬の寒い夜に母は亡くなった。ホスピスで紹介された葬儀社に連絡すると、30分で迎えに来た。電話ではすぐに火葬できる(一両日)とのことだったので安心していた。自社の安置所に置くとのことであった。

翌日、葬儀社の営業マンと調整することになった。営業マンは、冬は亡くなる人が多いため、翌週まで火葬場が空かなない、「最短でも8日後」と説明された。この時、遺体はまるで人質のごとく火事場泥棒のように確保されることを理解した。

現在、火葬場の稼働状況はホームページで確認できる。状況を見る限り空きは十分にある。しかし、母はすでに安置所に収められている。どうすべきか悩んだ末、「小さなお葬式」に連絡を取った。CMをご覧になった方も多いかもしれない。

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担当者は20代の若者だったが、対応は丁寧でスピーディーであった。結果として、対応は非常に秀逸だったと考えている。

この会社の営業マンは、状況を斟酌してくれた。前の葬儀社に連絡して母を引き取り、自社の安置所に収めてくれるとのことだった。そのあたりの交渉も任せてほしいとのことであった。

前の葬儀社から連絡があり、もろもろを請求したいと言われた。私は「どうぞ請求してください。ただし支払いはしません」と突っぱねた。結果として、2月13日現在、請求書は送られていない。

菩提寺(曹洞宗)に相応のお布施をしたため、戒名には院号をいただいた。菩提寺の住職が戒名の説明や昨今の相場についてわかりやすく教えてくれた。母は無事に「天の世界」にたどり着けたと信じている。

最後に、今回の一件で感じたことは、人生の終わりがいかに突然訪れるかということ。そして、その瞬間には多くの準備や調整が必要であること。この経験を通じて、家族との時間の大切さ、そして日常の一瞬一瞬を大切にすることの重要性を改めて感じることができた。

まだ、心の置き場がないが、前を向いて生きていきたいと思う。合掌

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

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