2月11日 建国記念の日。わたしは長崎の町を歩いていました。
この日長崎に来た目的は、2月12日まで開催されていた「長崎ランタンフェスティバル」に来たかったから。知人の間で話題になっていて一度訪ねてみたいと思っていたのです。
「長崎燈會」とかかれたランタンが無数に飾られます。
長崎ランタンフェスティバルは1987年から行われているイベントです。中国の元宵節に中国提灯が飾られる風習に倣い、長崎の中心部にある新地中華街を中心に春節に合わせて「灯籠祭」というイベントが行われていましたが、これが好評だったため1994年に市全体のイベントとなり「長崎ランタンフェスティバル」と名前も改められて現在に至っています。
期間中は湊公園での二胡演奏などさまざまなイベントが行われるのですが、わたしは新地中華街にほど近い唐人屋敷跡周辺の4つのお堂を巡ってロウソクを奉納する「四堂巡り」に参加しました。
赤いロウソクを四本携えて唐人屋敷内にある4つのお堂を巡り、ロウソクを奉納すると願いが叶うという言い伝えがあります。
土神堂
ロウソクは「土神堂」と呼ばれる4つのお堂のうちのひとつの前で500円で販売されています。ここから四堂巡りはスタート。土神堂は長崎に渡った中国の人がその生活の無事を祈って建てられたものです。
期間中はお堂もランタンが飾られます。
ロウソクを奉納したら次のお堂へ。4つのお堂はそれぞれ近くにあるので徒歩で十分アクセスすることができます。鎖国時代、オランダとともに長崎での交易を許された中国人でしたが、居住エリアは狭い唐人屋敷街の界隈だけに限られていました。
2つめのお堂は「天后堂」。こちらは南京地方の人たちが航海の安全を祈願して天后聖母を祀るために建てたものです。
レンガ造りのお堂の前でロウソクを立て「家内安全」を祈りました。
次にやってきたのは「観音堂」。観世音菩薩と関帝が祀られています。1737年に建てられましたが、その後天明の大火で焼失し、3年後に再建されています。
観音堂を出ると最後の目的地である福建会館に向かいます。これまで訪ねた3つのお堂はすべて江戸時代に唐人屋敷の内側に建てられたものですが、福建会館は唐人屋敷が廃止されて以後、その外側に明治時代に建てられたもので一線を画しています。
福建会館の入り口には狛犬っぽいもの。これもランタンの一種です。
階段を登ると狛犬?のような像が立ちます。これも立派なランタン。ランタンは赤い中国提灯だけではなく、このような架空の生き物などさまざまなバリエーションがあってみていて楽しいです。
ロウソクに火をつけ祈りを捧げたら四堂巡りは無事終了。願いごとが叶うといいですね。ここから新地中華街のランタンフェスティバルのメイン会場に戻ることにします。
新地中華街のメインストリートには無数の中国提灯が飾られていて、その下を大勢の人が歩いています。脇には角煮まんなどの食べ歩きができるお店が並んでいるのですが、そのみせも超長蛇の列でとても並べたものではありませんでした。雰囲気を楽しむだけで充分です。
新地中華街の入り口にあたる湊公園では二胡の演奏がされていました。ここにもかなり多くの観客がいましたがその上にも無数のランタンが飾られています。この時期長崎にはいったいい靴のランタンが飾られるのでしょうか。
日暮れを過ぎ周りが徐々に薄暗くなってきました。銅座川に映るランタンのリフレクションが美しい。
バスに映るランタン。
新地中華街とその周辺の至る場所で趣向を凝らしたランタンが見られ、観光客を飽きさせません。今や長崎を代表する祭りのひとつになったともいえるランタンフェスティバル。今年はもう終了してしまいましたが、また来年1月末にはこれまでとは違った形のランタンがお目見えすることと思います。寒い季節だからこそ映える光の競演見に是非長崎を訪ねてみていただきたいと思いました。
編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2025年2月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。