駅前にはなかなか手の込んだ雪だるま。
今年は雪が多く、寒い冬になりましたね。弘前では史上最も積雪が多くなったのだとか。雪がなさすぎるのも夏に水不足になったりして問題なのですがありすぎても除雪が大変で困ってしまいます。
そんな今年の冬、山形新幹線に乗って新庄駅にやってきました。前日は台風並みに風が強くてダイヤが大幅に乱れたということで、天候を心配していましたがこの日は風は収まっていました。ただ、飛来物が東北新幹線の架線にひっかかり山形新幹線も1時間遅れ。
2月は天候を気にしながらの旅を余儀なくされますが、それでも雪の中の温泉街に行きたくて福岡から飛行機&新幹線を乗り継いでここまでやってきました。
新庄駅は山形県北の鉄道の要衝で、新幹線を降りると秋田方面に向かう奥羽本線、鳴子温泉方面に向かう陸羽東線、酒田方面に向かう陸羽西線があります。が、奥羽本線と陸羽東線は昨年夏の豪雨で大規模な被害が出てバス代行運転中であり、陸羽西線は脇を走る国道のトンネル工事のため長期のバス代行運転となっています。三方向全てがバス代行という状況で、特に災害にあってしまった区間についてはいち早い復旧が望まれます。
新庄駅からはバスに乗って目的の温泉まで向かいます。新幹線の遅れのせいで予定していたバスには乗れず、2時間半後、18:05発の最終バスに乗りました。さすがに日が落ちてくると風も冷たく寒かった。。。バス待ちの時間が長く感じます。
やってきたのは小型の村営バス。新庄まで通学しているらしい生徒さんも乗せて山奥の温泉街まで向かいます。
50分ほどバスに揺られてやってきたのは肘折(ひじおり)温泉。酸ヶ湯などと並ぶ全国屈指の豪雪地帯にある温泉街です。到着したのは19:00すぎ。今回泊まる大友屋旅館さんには予定より遅れると電話を入れておいたのですが、わざわざバスを降りてきた私を出迎えてくださいました。
シンプルで過剰な設備もないこんな旅館がありがたい。
福岡から半日以上かけてようやく目的地到着。長かった!
お腹が空いていたのでお風呂の前に食事を頂くことにします。山の中の温泉ということもあって肉よりも野菜中心の料理。どれも胃に優しい。酒粕の入った味噌汁が絶品でした。
わたしが訪ねた日は平日でお客さんもまばら。温泉もゆったり入ることができました。泉質は塩化物泉。湯冷めしにくいので寒冷地にはとてもありがたい泉質です。肘折温泉はカルデラの脇、マグマだまりの上に立地することから平安時代から湯が沸く場所でした。肘を折った源翁がこの地を訪れた際、老僧(地蔵権現)より肘を折った際にこの湯に浸かったところたちまち回復したと教えられたという伝説からこの名がついたと言われています。
大友嘉右衛門さんが江戸時代に始めた旅館だそう。
読書スペースで漫画も読める。
短い時間でしたが寛がせていただきました。
こちらが大友屋さんの温泉の源泉だそう。
翌朝、バスは9:50にでるのですが、写真も撮りたいし町も歩いて見たいと思ったので食事を終えると8時過ぎに旅館を出ました。ここでも私の姿が見えなくなるまでお見送りしていただきました。肘折温泉、他の温泉街にはない高いホスピタリティがあります。
向こうの木のてっぺんしか見えない。
湯の神を祀る薬師神社ですが。。。お参りに行けない。
さて、温泉街はというとさすが豪雪地帯。温泉街こそ雪かきされていて歩きやすくなっているものの、道路わきは雪で埋もれています。神社は御覧の通り入れません。
温泉街の脇には最上川水系の銅山(どうざん)川が流れます。川の中央に残された岩の上にも雪の層が積もります。奥の方にはダムもあるんですが残念ながら冬期は徒歩で到達不能。初恋足湯などの足湯も冬場はたどり着けず、散策する場所が限られます。
温泉街の中心に目をひく建物がありました。旧肘折郵便局で昭和12年に建てられた肘折温泉のランドマーク的存在です。2階の上にある謎に高くなった部分と、窓枠が郵便マーク(〒)になっているのが印象的ですね。
街歩きをして体が冷えたので温泉街で一般の旅行客が唯一入れる共同湯「上の湯」に来ました。真上で雪おろし作業の真っ最中だったので建物の写真はありません。旅館の宿泊客は100円で入湯できます。
広い浴槽。まだ朝早い時間ということもあってか誰もおらず一人占めです。湯温も適温で冷えた体を癒してくれます。
湯の中央部にはお湯かけ地蔵様。
いよいよ肘折温泉を発つ時間が近づいてきました。バス停にもこんもりと雪が積もっています。もうすでに何人かお客さんが乗っていました。多客期にはバスも混雑するそうなので注意が必要。9:50のバスを逃すと昼までバスはありません。
お世話になった温泉街の真ん中を抜けてバスは新庄駅に向かいます。写真はありませんがどの旅館の方も表に出て手を振ってくださいます。なんともあったかいおもてなし。心も体も温まる温泉。遠いけどまた来たくなります。今度はまた違う季節に訪ねてみたいと思いました。
編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2025年2月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。