貧乏になると現れる3つの症状

黒坂岳央です。

一度貧乏に落ちると抜け出すのが難しいと言われる。

さらにここでいう「貧乏」とは金融資産や所得が「貧困層にいる」という意味ではなく、精神的に「自分は貧しい」と感じる時に起きる。

たとえば売上(または利益)500万円程度を安定的に稼いでいた人が、調子が悪くて立て続けに100万円を3ヶ月連続で切ってしまうということが起きる。そうなるといきなり財布の紐が固くなる。

世間一般的に見れば月100万円は十分多いはずなのに、500万円を売っていた時期のような余裕あるお金の使い方ができなくなってしまうのだ。だから今は羽振りがよくても調子が狂えば誰しもここに落ちる可能性がある。

具体的に取り上げたい。

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1. バカになる

ハーバード大学の行った有名な調査に「人は経済状態が困難になると頭が心配事でいっぱいになりIQも低下する」というものがある。

実際、SNSなど見るからに詐欺案件に多くの人が群がって「お金がないのでぜひチャンスを!」とコメントを書き込むのをよく見る。端から見ると「なんでこんなわかりやすい詐欺に騙されるのか?」と驚いてしまう。

もちろん、全員とは言わないが貧しさは人をバカにする。困窮すると目の前の人間が地獄の底に蜘蛛の糸を垂らすメシアに見えてしまう。実態は完全なる詐欺師というのに。

そして脳のリソースがその日暮らしの経済状況を乗り越えることに使われてしまうため、短期思考で長期的に人生をよくしようという発想が生まれなくなってしまう。

2. 時間効率が悪くなる

これは過去記事で書いたことがあるが、貧乏になると時間効率が悪くなる。

お金がないから郊外の駅から遠い家しか借りらず、通勤や通学に時間がかかる。お金がないなら栄養価の高い食事ができず、栄養不足で体力がなく病気になりがちで回復に必要な休息や睡眠時間も多くなる。

そして仕事も自己投資やスキル研鑽の時間など取れないので、単純労働で単価も安いものになりがちである。

貧乏になるととにかく時間がなくなり、発展性がなくなってしまうのだ。

3. 疑心暗鬼で攻撃的になる

貧乏になると他人を信じられなくなり、疑心暗鬼で誰に対しても攻撃的な気質になる。

精神的、経済的に余裕がないと「今、他人に裏切られるようなことがあれば自分には致命的だ」と感じて、他者への不信感が強まる。他人の善意を信じて人生を発展させるより、裏切られて致命的になるリスクを回避するために攻撃的で良心的な人を寄せ付けないようになる。

その一方で、先ほど書いたように貧乏になるとバカになって詐欺師が救世主に見えるというアンビバレンスな心理状態に陥るのだ。

「貧乏とは結果ではなく原因」という金言がある。これは本当にその通りで、貧乏な状況に陥ると誰しもバカになり、時間がなく、他人を頼れなくなる。それでいて詐欺師に搾取されてますます貧乏の沼に落とされてしまうのだ。

つまりダメな人間が貧乏になるというより、貧乏が人をダメにする。だから貧乏は罪なのだ。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。