2月14日から3日間、山形県を旅行しました。幸い天気に恵まれて旅行期間中は見事な青空が広がりました。わたし、意外に晴れ男なんです。新庄駅から山形新幹線に乗ってやってきたのは大石田駅。ここから山形県きっての有名な温泉地、銀山温泉に行くバスが出ています。
せっかく大石田に来たのでこの町の名物である蕎麦を頂こうと思い蕎麦屋に入ります。駅から歩いて10分ほどのところにある美登里さん。
蕎麦が名物らしいので大石田に来たら是非蕎麦を召し上がれ!
鴨南蛮をいただきました。丼にあふれそうなくらい盛られた蕎麦はボリュームたっぷり。寒い中歩いて冷えた体をあっためてくれました。
おいしい蕎麦を食べて駅に戻ったところ、銀山温泉行きのバス停の前には長蛇の列ができていました。外国人がかなり多いですが日本人も結構います。
銀山温泉はその独特な光景が内外問わずとても目を惹き、近年観光客が激増しています。10年ほど前にも一度来たことがあるのですが、その時はスクールバスのような小型のバスで、行きの乗客はわたしひとり。帰りは地元の小学生が乗っただけでした。
バスは来ましたがこの定刻のバスだけではとても乗客を乗せきれず休日は5分後に発車する臨時バスも運行されます。10年前は乗客はわたしひとりだけだったのに。。。変貌ぶりに驚かされながらバスに揺られ銀山温泉に向かいました。
銀山温泉に到着して、川に架かる最初の橋を渡ったんですがこの橋、歩道部分は欄干の上部の高さにまで雪が積もってしまっています。男性が歩いているのは欄干の上ではなくその脇の歩道に積もった雪の上です。ほとんど欄干の意味がないですよね。下手したら雪で滑って川に落ちてしまいます。
銀山温泉は銀山川の左右に広がる温泉街で、温泉街の入り口付近の川のほとりでは足湯も楽しめます。雪山を見ながら温泉で足をあっためるのもいいものです。
かつては200円で入れる共同浴場「大湯」があって前に来たときはそこを利用したのですが閉館になってしまいました。そう大きなお風呂ではなかったので今営業していたらきっと順番待ちの大行列ができて大変なことになっていたでしょう。今ある共同湯は温泉街からやや離れたところにある隈研吾事務所設計の「しろがね湯」のみです。
いかにも隈研吾、な「しろがね湯」。
川のほとりの足湯を横目で見ながらさらに奥に進めばいよいよ銀山温泉のメインスポット、側の両側に並ぶ温泉旅館の光景が現れます。
雪深い山形の山奥に広がる温泉街。ここだけ大正時代から時が止まってしまっているかのような光景です。この光景を見るために遠く海外から多くの観光客が訪れます。
銀山川にはいくつか橋が架かっているのですがその中のひとつに足湯や机のある橋があります。ここで足湯に浸かりながら写真を撮ることができます。
せっかくなので入ってみました。結構あったかい。銀山温泉は思わず歩き回ってたくさん写真を撮ってしまっていて気づけば歩き疲れてしまっているのですがその足の疲れを癒してくれるありがたい存在です。
銀山温泉はその名の通り室町時代に発見された銀鉱山がこの地にあったことから発展しました。鉱山のあったころは20万もの人がいたそうですが、江戸時代初期に鉱山が閉山すると町は衰退、温泉地として再出発することとなりました。
現在のような町が形成されたのは大正2年に洪水に見舞われ温泉街が壊滅して以降のこと。大正時代から昭和初期にかけて建てられた建物で形成されており、この時代の流行だった西洋風の装いを取り入れた建物が多いから大正浪漫の秘湯と呼ばれてきました。
これだけの木造多層建築が立ち並ぶ場所は他に類を見ないことから人々の目を惹き、そのノスタルジックな光景は映像界にも注目されて連続テレビ小説「おしん」などドラマや映画の舞台、アニメのモデルにもなりました。このため知名度が急上昇し多くの観光客が訪れる山形県でも有数の観光地となっています。
中でも目を見張るのが大正15年に建てられた能登屋旅館。3層5階建の木造旅館は他に類を見ないものであり国の登録有形文化財に指定されています。
銀山温泉のもうひとつの特徴は鏝絵(こてえ)と呼ばれる漆喰を用いて描かれた絵や看板が旅館の戸袋などに描かれていること。洪水のあと温泉街が洋風モダンな町に生まれ変わったときに豪華さを競い合いこのような絵や看板が掲げられたといいます。この絵がまた銀山温泉独特の光景を生み出しています。
観光客が非常に多くなり、かつてあった秘境感は感じられなくなってしまいましたが、ノスタルジックな雰囲気はいまだ失っていなかった銀山温泉。
夜はガス灯がともりまた違った雰囲気を味わうことができるそうです。ぜひ次はガス灯灯る夜の銀山温泉を歩いて大正浪漫溢れる街をより一層味わってみたいと思いました。
編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2025年2月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。