三井住友フィナンシャルグループ(FG)は4日、国際的な脱炭素の枠組み「ネットゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」から脱退しました。背景には、トランプ米政権下での脱炭素活動への批判や法的リスクの高まりがあります。
邦銀では初の事例であり、野村ホールディングス(HD)も脱退を検討していそうです。日本の3メガバンクを含む6社がNZBAに加盟していましたが、米国で事業を展開する邦銀にとってもリスクが拡大しています。みずほFGや三菱UFJFGも脱退を含めた検討を進めています。
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米銀ではJPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスなど主要行が相次いで脱退し、カナダでも同様の動きが続いています。米共和党内では、NZBAの活動が反トラスト法に抵触するとの指摘があり、「気候カルテル」との批判も強まっています。
ブラックロックなどの資産運用会社がESGを普及させ、高額な手数料ビジネスを展開していると考えられていましたが、実際はClimate Action 100+などの「気候カルテル」に圧力を受けていたようです。資産運用大手は立場の弱い金融機関やアセットマネジャーに圧力をかけ、結果的に企業への過激なESG要求が広がった面もあるようです。
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三井住友FGは脱退後も脱炭素への投融資計画を継続し、気候変動対応を強化するとしていますが、環境系ビジネスには痛手のようです。
世界的には金融界全体で脱炭素の国際枠組みに対する逆風が強まり、欧州でも環境規制の緩和の兆しが見え始めています。