「大国に小国が飲み込まれるのを良しとしないので絶対にウクライナ支持」とウクライナ紛争について主張する者がいる。また、「朝鮮半島は古代から大国の狭間で痛めつけられた」と語る半島の住民もいる。
しかし、小国が地域の秩序を乱すことは多い。小国が常に大国に翻弄されて損をしているわけではない。
朝鮮半島は日本と中国のはざまで迷惑を被ったとされるが、日中の争いは多くの場合、半島が二つの大国の間で策を弄した結果として発生したものである。さらに近代にはロシアも加わった。
日清戦争は、維新以降、朝鮮王国が閔妃と大院君によって日本と清国を天秤にかけ、さらには途中で組む相手を変えるという混乱を引き起こしたことが大きな原因であることは紛れもない事実である。また、日露戦争も、朝鮮王国が日清戦争後にロシアを招き入れ、日本と対抗させようとしなければ起こらなかったことは明白である。なにしろ、皇帝自らがロシア公使館に入ったほどである。
ベネルクス三国は、フランス・ドイツ・イギリスの緩衝国家、仲介国家としてしっかりとした哲学をもって行動し、EU創設にも貢献した。それに対して、韓国はいまも日中を天秤にかけて行動している。これを小国の自由として好き勝手に振る舞われては、アジアの平和は成り立たない。私はむしろ、日中が直接結びつくことによって、半島が無責任に動く余地をなくすほうがアジアの安定につながると考える。そうなれば、半島も平和の利益を享受できるはずである。
例えば、将来、日中韓を構成国とするさまざまな機関が設立されるとして、韓国が仲介役に徹するのであれば、その本拠をソウルに置くことも可能である。しかし、現状のようなトラブルメーカーである限り、それは到底受け入れがたい。日清戦争・日露戦争の原因は、半島国家のコウモリ的な振る舞いにある。
ウクライナ紛争もまた、小国が大国の間であちらについたり、こちらについたりした結果として発生したもの「とも」言える。ウクライナの論理と半島の論理は類似している。「小国だから紛争の一方的な被害者である」という考えは誤りである。
会談するゼレンスキー大統領とトランプ大統領とヴァンス副大統領
法的にはロシアの侵略であるが、ウクライナが何も悪いことをしていない純然たる被害者であるかのように考えたり、そのように扱うことは問題である。そもそも、ウクライナが国家を形成した歴史はロシア革命以前にはなく、ウクライナ人という民族が存在したのかも定かでない。スターリンの政治的思惑によって成立したウクライナの独立は、法的にはともかく、歴史的には疑問が残る存在であり、それ自体が火薬庫である。しかし、ここではその議論は措く。
もちろん、ロシアのウクライナ侵攻は違法である。しかし、ウクライナは2014年以降、選挙で選ばれた大統領を追放し、クリミア軍港の地位を危うくし、ロシア系住民を弾圧し、高度な自治を拒否し、さらにNATOやEUへの接近を図った。これが危険な火遊びでなくて何であろうか。
戦後には、無理のない、長期的に安定する体制が構築されることを願う。