テオドール・クルレンツィス&パリ国立オペラ座オーケストラ(パリ)

3年ぶりに、クルレンツィス〜♪ ようやくフランスに来られるようになったのね。

テオドール・クルレンツィス&パリ国立オペラ座オーケストラ、フィルハーモニー・ド・パリにて。もちろん完売。オペラ座管、オペラ座バレエにつられてストライキしなくてよかった。

プログラムの写真に見惚れてたら、横のマダムが、”嬉しいわよね〜、また彼の音楽をパリで聴けるようになって”と。ほんとほんと♪

3年ぶりに見る指揮者は、相変わらず教祖色つよい雰囲気。ヒートテックとしか思えないトップスに、しなやかな質感でたっぷりしたベルボトムのパンツ。もちろん上下黒。カチューシャはずしたばかり、みたいな髪型。思わず拝みたくなる(笑)

まずは、ストラヴィンスキー”火の鳥”。

まあまあ。後半は盛り上がるものの、前半、特に出だし、緊張感が今ひとつ。クルレンツィスらしい、独特の間とか異端的な表現が少ない。主兵オケでない、というのもあるのだろうなぁ。立奏もさせないし。表情も、もちろん激しめだけれど、前回、主兵ムジカエテルナで見せていたような狂気的な部分は少ない。クルレンツィスの意向なのかオペラ座管がクルレンツィス教に入信しないのか…。

そして、金管がんばれー。オーボエ、素晴らしい。

後半は、ラヴェル”ダフニスとクロエ”。流れるように幻想的に、そして艶やかに。ほんのちょっとしたテンポの揺らぎが、クルレンツィスっぽくて素敵。かつ、オペラ座管、フランス音楽は上手にできるので、とてもいい感じ。

締めは、”ラ・ヴァルツ”。出だしの霧感がちょっと足りない感じはするものの、それなりに素敵。ラスト、狂気に溢れるかな?と期待するも、こちらもまたそこまで異端にならない感じ。んー、クルレンツィスが変わったのか、オケのせいなのか、知りたい。

短い演奏会、と思ったら、大歓声大拍手に指揮者が応えている間に、サックスチームが入ってくる。おぉ、これは、アンコール、”ボレロ”だ〜♪

そしてクルレンツィスが指揮台に立ち、小太鼓の音が聴こえ始める。

前半はほぼほぼ手を動かさず、ドライヴ。くー、横から観たかった。顔見える席を買っていたのに、後ろの子供達があまりにうるさくて、係員にお願いして席を変えてもらい、後半は正面から聴くことになっちゃって残念。

まるでベジャールの”ボレロ”の踊りのように、ほぼ動かないところから後半にかけて少しずつ手や腕、腰の動きが大きくなる。長い手足と首、背の高さ、肩の低さ、胸の張りという持ち前の体型、そして衣装効果もあって、まるでバレエを舞っているかのよう。その動きがあまりにも美しく、下手なオペラ座ダンサーが踊る”ボレロ”より、よっぽど視線持っていかれる。後ろ姿でなお観客を魅了する、やっぱり彼は教祖。

演奏自体は、それなりにきちんとよい、でも期待していた悪魔性&異端性は少ない。

今度は違うオケ(新しいオケ作ったんだっけ?)で聴きたいな。来シーズンもパリに来てくれますように。

1月、オペラ座でオペラ振るけど、今夜の演奏会は、その準備かな。

※ 2021年12月、クルレンツィス&ムジカエテルナ演奏会の様子はこちらです。


編集部より:この記事は加納雪乃さんのブログ「パリのおいしい日々6」2024年12月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「パリのおいしい日々6」をご覧ください。