フィンランド「デジタル教育」見直しも日本は「GIGAスクール」に突進

デジタル教育を積極的に導入した海外の教育先進国では、子どもの学力低下や心身の不調が顕在化し、見直しが進んでいます。一方で、日本では紙の教科書をデジタルに置き換える方針が推進されており、そのリスクが指摘されています。デジタル化が目的化し、教育の本質的な課題や解決策が十分に検討されないまま進められた結果、デジタル依存をはじめとする多くの弊害が生じています。

参照:デジタル導入の「教育先進国」で成績低下や心身の不調が顕在化…フィンランド、紙の教科書復活「歓迎」 読売新聞

デジタル導入の「教育先進国」で成績低下や心身の不調が顕在化…フィンランド、紙の教科書復活「歓迎」
【読売新聞】デジタルを積極導入した海外の「教育先進国」で、子どもの学力低下や心身の不調が顕在化し、見直しの動きが相次ぐ。反対に日本は、学校教育の根幹にある教科書を、紙からデジタルに置き換えようと突き進む。文部科学省が主導する推進議論

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フィンランドでは1990年代からデジタル教育を導入し、国際学習到達度調査(PISA)で高い評価を得ていましたが、2022年には成績が低下しました。リーヒマキ市では、中学生にノートパソコンを配布し、デジタル教科書を活用していましたが、集中力の低下などが問題視され、保護者や教員の意見を反映し、紙の教科書が復活しました。

シンガポールでは、小学生へのデジタル端末の配布を中止し、韓国ではAI搭載のデジタル教科書の導入に対し、保護者や教員の間で懸念が広がっているそうです。

日本の保護者の間でも、タブレット配布に疑問を抱く声が多く聞かれます。

日本では、中央教育審議会の作業部会がデジタル教科書を紙と同等の「正式な教科書」とする方針を提案しましたが、海外の動向を十分に考慮した様子はなく、慎重な検討が求められます。

結局のところ、「文部科学省が莫大な予算を獲得することが目的だったのではないか」との指摘もあります。いつものことですが、政府の投資は計画後の検証や見直しが不十分なまま進められています。

文部科学省が推進する「GIGAスクール」構想により、全国の小中学生に1人1台配備された学習用デジタル端末が更新時期を迎えています。静岡県内では、小山町・菊川市・長泉町の3市町が、他の自治体に先駆けて2024年度内に端末を更新する予定です。

ないものねだりの日本の教育は迷走し続けていますが、日本の停滞の原因をなんでも教育のせいにして迷走した40年だったかもしれません。