日本企業でも仕事への熱意を失い、最低限の業務しか行わない「静かな退職」状態の人が増えています。民間企業による20〜59歳の男女を対象にした調査によると、2024年12月時点で該当者は2.8%となり、前年1月より0.4ポイント増加したそうです。
「静かな退職」とは「誰にも相談せずにひっそりと会社を辞めていく」ということではなく、新型コロナ禍で広がった「Quiet Quitting」の日本語訳で、退職はしないものの仕事への意欲を失って与えられた以上の業務をしない状態を指します。この調査では、40〜44歳が5.6%で最多となり、特に35歳以上での増加が目立ったそうです。
Yuto photographer/iStock
静かな退職の例としては「定時退社」「業務外の協力を断る」「最低限のコミュニケーション」「意見や提案を控える」「自己啓発をしない」などが挙げられます。
「静かな退職」というワーディングに共感の声が多く聞かれます。
企業にとっては負担となる一方、本人たちにはその自覚が乏しいようです。約4割が収入やスキルの向上を見込めないと感じるものの、解雇や孤立を不安視する人は少なく、3割は特に不安を抱いていません。
マイナビの調査では、2023年の時点ですでに約半数が「静かな退職をしている」と感じ、56.9%が「できることなら働きたくない」と回答していました。
必要な人材が不足している日本において、企業が優秀な人材を終身雇用で囲い込むことは適切ではありません。もし、その人材の能力を生かせる案件がなければ、「静かな退職」となってしまいます。そのため、必要とする案件がある企業へ転職し、案件が終了すれば再び転職をするという形で働いてもらうほうが望ましいと考えられます。
ミドル・シニア世代は飼い殺し老人になることを選んだようです。
好むと好まざるとにかかわらず、ジョブ型雇用ではこの働き方がスタンダードになるという指摘も。
「働かないおじさん」最強説もありますが、その人数が一定数を超えるとどうなるのでしょうか。
『働かないおじさんは資本主義を生き延びる術を知っている』侍留 啓介