農林中金の米国債損切りポンコツトレードがトランプ関税を停止させる

アゴラ編集部

トランプ米大統領は9日、発動直後の相互関税の上乗せ部分を、一部の国に対して90日間一時停止すると発表しました。この決定の背景には、9日の東京市場での異常な米国債の売却があります。

日本時間の昼頃から米10年債の利回りが急騰し、同時に日本国債も売られるという異例の展開となりました。米国債が時間外で大きく売られるのは極めて珍しく、農林中央金庫による売却との見方が広がりました。

https://twitter.com/Nihonpolitics/status/1910096159835594786

フォックスニュースによると、昨日日本が米国債を売却したことで、トランプ大統領は中国を除く90日間の関税停止を発表せざるを得なくなったという。

https://twitter.com/SpencerHakimian/status/1910078058503283138

昨夜、60倍のレバレッジをかけた10年米国債を運用し、世界を大恐慌から救った日本のヘッジファンドに拍手を送ります。

私たちはあなたの犠牲を決して忘れません、兄弟。

トランプ大統領の日本への心象は?

この市場の動揺を受けて、穏健派のベッセント財務長官が主導し、トランプ大統領に関税上乗せの一時停止を説得したとされています。政権内で強硬派に代わり、穏健派が影響力を強めた兆しとも受け取られています。市場の急変が政策判断を左右した象徴的な出来事といえます。

相互関税の90日間停止については、本来であれば米国債の利回りが低下することが期待されていましたが、実際には米国債が急落し、逆に利回りが上昇したことが最大の要因とみられています。また、中国による報復措置は、関税政策を転換するための口実として利用された可能性があると考えられます。

当の農林中金自身はその意識もなく、むしろ最安値付近で損切りしてしまったのではないかとも指摘されています。

農林中金は、農協や漁協などを通じて約90兆円の資産を運用しており、一般に持たれる素朴なイメージとは異なり、実際は非常に積極的な投資姿勢をとる巨大ファンドです。

https://twitter.com/FGl5jNNj5IJunWv/status/1910296095659278743

今回のトレードから鑑みて、農林中金の投資部門には実力不足のトレーダーが多いのではないかと指摘されています。今回の米国債大量売却は結果的に関税政策の見直しを促し「世界を救った」とも言われますが、実際には円安による評価損を抱えての損切りだった可能性が高く、運用の判断力に疑問も出ています。

いずれにせよ、今回のトランプ大統領の対応は驚くほど軽率なものであると言えます。相互関税を90日間延期する一方で、中国には125%の関税を課すという対応は、各国に対する一貫性のない姿勢を示しています。

こうした好き勝手な対応を繰り返すトランプ政権に対する信頼は大きく損なわれており、今後、世界がアメリカへの依存を減らしていくことは避けられない状況です。

https://twitter.com/kazu_fujisawa/status/1910151749631181202