ゴールデンウィークが終わりました。ここから77日間、祝日はありません。
ゴールデンウィークはどこに行っても人だらけ。ごみごみして楽しくないので出かけることはあまりないのですが、今年は九州に赴任して初めてということもあり福岡から近場に出かけることにしました。
ということで博多駅から列車に揺られて2時間半。着いたのは大分県きってのリゾート地、湯布院の玄関口、由布院駅。
博多駅からは特急「ゆふいんの森」号が出ており、私が乗った1号は当駅が終着駅となっています。モスグリーンの車体が特徴のゆふいんの森号は、JR九州のいたるところで走る「D&S(デザイン&ストーリー)列車」の先陣を切って登場した列車であり、国鉄がJRになって間もない平成元年に登場しました。今でも高い乗車率を誇る列車であり、以後現在に至るまで3種類の「ゆふいんの森」が登場しています。
写真は今回乗車した「ゆふいんの森三世」と呼ばれるキハ72系で平成11年に「ゆふいんの森一世」を増備する目的で登場しました。数あるD&S列車の中で、車両を複数持つものはこの「ゆふいんの森」だけでその人気ぶりがうかがえます。なお、「ゆふいんの森二世」もありましたが、現在では既に運用を終了しています。
由布院駅からは湯布院のシンボル「由布岳」がきれいに見えます。駅前から延びる由布見通りや、金鱗湖に向かう湯の坪街道の沿道には飲食店やおしゃれな雑貨店など多くのお店が並び、観光客を集めています。その様子はさながら「九州の軽井沢」です。
客層は日本人よりも韓国・中国などからの外国人観光客が圧倒的に多く、先の特急「ゆふいんの森」では日本語をしゃべっている人は客室乗務員のほか数名しかいませんでした。
湯の坪街道はおいしいお店目白押し。お目当てのハンバーガー屋さんがあったんですが、なんと1時間以上待ちとのことであきらめ、食べ歩きに切り替えることにします。こちらは鞠智(くくち)さんのソフトクリーム。ソフトクリームを売る店はほかにもたくさんありますが、濃厚で上品な甘さが最高です。
いかにも外国人向けといった感の店構えのこちらのお店はえびやホタテなどの天ぷらの串を販売するお店です。
とり天串(580円)をいただきました。大分といえばとり天。北部の中津市は鶏の唐揚げがソウルフードとなっているなど鶏肉料理が有名な土地です。甘たれもいい味わいで外国人の方にも受け入れられると思います。
ドクターフィッシュの足湯。
湯の坪街道は手を変え品を変え、レジャー施設も充実しています。こちらはドクターフィッシュが泳ぐ魚足湯。足の角質をドクターフィッシュが食べてくれて足をきれいにしてくれます。
金鱗湖にほど近い湯布院昭和館。館内には入りませんでしたが、表だけでも昭和感満載!私が生きた昭和よりはちょっと前の時代のものが多いのですが、それでも懐かしさを感じてしまいます。
放課後自転車で友達と街に出てこの自販機で瓶のコーラを買って飲んでいました。
あの友達はいま何してるかなぁ。
由布院駅から人通りの多い通りを歩いてたどり着いたのは金鱗湖。由布院のシンボル的存在です。こちらも深緑が美しく人で賑わっていました。
金鱗湖は地底から温泉が湧いています。この季節はわかりにくいですが冬に来たときは金鱗湖から流れ出るこの川からは湯気が立ち上るため水温が高いことがよくわかります。
金鱗湖より由布の山々を望む。
駅前の由布見通りや金鱗湖に至る湯の坪街道は大変な混雑なのですが、そこから道を少し外れると人影はかなりまばらになり、その分ゆっくりと散策を楽しむことができます。そんな幹線から外れた道の森の中にあるクラフトショップを発見。アトリエときさんでは様々な木製の食器や置物などを販売しています。
木の製品に囲まれて暖かな雰囲気。
木のぬくもりに包まれた中で落ち着いて木製品の買い物を楽しめます。店外の木立の中にはベンチもあってマイナスイオンをたっぷり浴びることもできます。普段衝動買いをすることはめったにないのですが、こちらではフリーカップ(3500円)を購入しました。
帰りは田園風景の中、雄大な由布岳を背しながら歩いていきます。おしゃれなお店はないですが、人混みはなくわたしはこっちを歩く方が断然好きです。
道中、宇奈岐日女神社の前に観光辻馬車がいました。馬車は宇奈岐日女神社や佛山寺など歩くと少し時間のかかるところを60分で周遊してくれています。のどかな山間の町をゆっくり景色を見て馬車の旅を楽しむのもいいものです。
辻馬車の目的地のひとつでもある宇奈岐日女神社は由布院駅から20分ほどの場所にあります。宇奈岐日女は綿花の栽培を司る神とされ、この地域がかつて木綿の栽培地であり、その繁栄を願って祀られたと考えられています。
木綿は「ゆう」と呼ばれ、この地域が「ゆふ」と呼ばれる語源となったと言われています。また、宇奈岐日女はかつてこの地が大きな池だったのを、男神に命じて岸辺を破らせて川を作って水を流させ、由布盆地を作ったという伝説も残ります。
由布院散歩の旅の最後はやはり温泉。町民の健康福祉施設に「クアージュゆふいん」という温泉施設があって、こちらを利用します(520円)。湯布院に来るのは5回目くらいなんですが、温泉施設は小規模ながら露天風呂もあって心地よく、だいたいここを利用しています。
3時間ほどの由布院散歩を終えて駅に戻ると「或る列車」が停車していました。こちらもJR九州のD&S列車のひとつ。かつて私鉄だった九州鉄道がアメリカに発注した豪華車両があったのですが、納品後に九州鉄道が国有化され走ることはありませんでした。故・原信太郎さんが残していたその車両の鉄道模型をもとに、100年の時を経て復活した観光列車です。
今回はわたしは「或る列車」を見送りその向こうの赤い普通列車に乗ったのですが、今度はこちらを使って九州内をクルーズしたいですね。
編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2025年5月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。