「ココイチ」が狙う日常のプチ贅沢

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「ココイチ」ことカレーのCoCo壱番屋といえば、牛丼の吉野家、ちゃんぽんのリンガーハットと並ぶ私が好きな外食チェーン御三家です。

しかし、以前にも書いたようにこちらのカレーの価格は急激に上昇しており、普通にカレーだけを注文しても1200円から1500円位はかかるようになりました。

週末にCoCo壱番屋に出かけてみましたが、3辛のメンチカツカレーに、ほうれん草と半熟卵をトッピングしただけで会計は1300円を超えました(写真)。

カレー単品としてはかなり強気な価格設定です。にもかかわらず、店内にはそれなりにお客さんが入っていました。

私のようにカウンターで1人で食べている中年男性客も多かったですが、意外なのは家族4人で来ている人や、シニアのカップルのような客層もいたことです。

家族4人でお店に来てサラダやドリンクを注文すれば、トータルの会計は1万円近くになると思います。

このレベルの支払いになるともはやファストフードと言うよりは、かつてのファミレスのような価格帯です。

同じファストフードでも吉野家の牛丼は今でも500円以下です。こちらの客層は、圧倒的に男性の1人客です。

つまり、同じファストフードでも価格帯が2極化してターゲットとする顧客層が変わってきているように思いました。

CoCo壱番屋は、牛丼店のように単身者がサクっと気軽に食事をする場所ではなく、日常の中でのプチ贅沢な体験としてやってくるお店に変わっているのです。

ファミリー層も同じです。休日にちょっとした贅沢を家族でしたい。そんな時にはカウンターしかない牛丼店よりも、テーブル席で食べられるお店の方が向いています。

以前は1000円以下で食べられたCoCo壱番屋のカレーが今や倍近い値段になっている。日本の外食は安いという神話は過去のものになりつつあります。

一時期、ハワイの飲食店の物価の高さがメディアのニュースになっていましたが、日本のファストフードもいよいよ価格の2極化が強まっていく段階になったのかもしれません。

会社員のお昼ご飯にも、以前は1000円の壁がありましたが、今や1000円ではまともな食事ができなくなってしまいました。

所得が増えなければ、インフレによって経済レベルはどんどん下がっていってしまいます。

自分が稼ぐだけではなく、やはりお金にも働いてもらう仕組みを早く作ることがとても大切です。

せめてCoCo壱番屋でトッピングぐらいは自分の好きなものを注文できるくらいの経済的自由を持ち続けたいものです。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年5月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。