富士宮市の須藤秀忠市長は5月9日の定例記者会見で、富士山の閉山期における登山者の救助費用を個人負担にすべきとの考えを示しました。
登山者が救助されると多額の税金が使われるため、「自己責任」であるべきだと訴え、県に対し閉山期の救助に関するルール整備を要請する方針です。
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背景には、閉山中にもかかわらず無断で入山し、救助を要請する事例が後を絶たない現状があります。特に注目されたのは、4月に27歳の中国籍男子大学生がわずか4日間で2度も救助された事案です。1度目はアイゼン(滑り止め)を紛失したとして山梨県のヘリで救助され、2度目は携帯電話を忘れたため再び入山し、高山病で倒れ警察の救助を受けました。
須藤市長は、「山を甘く見ている。救助隊は命がけで活動している」と怒りをあらわにし、「安易な登山を抑止するためにも費用の一部は登山者に負担してもらうべきだ」と述べています。
現在、静岡・山梨両県では夏から1人4,000円の入山料を徴収する登山規制などを導入する予定で、「弾丸登山」対策なども盛り込まれています。
また、他国の例としてネパールでは、エベレスト登山者に高額な入山料(ピーク時で約220万円)を課し、環境保全や救助体制の強化、登山者の技量チェックなどの制度整備を進めています。
今後、日本でも冬季登山や弾丸登山に対し、より厳格なルールや費用負担の導入が求められる可能性があります。