参議院選で大激変は起こりえるか?:古い名前の政党が刷新される時が来た

日々さまざまな出来事や事象が社会、経済、政治に複雑に絡まりあっていく構図がより強くなってきました。これは政治、これは経済といった縦割りで将来を考えるという時代は過ぎ去り、あらゆる方面から検証しないと世の中の流れが読めない時代になってきているとも言えます。

とっつきにくい前段から入りましたが、最近の日本の政治の展開を見ているとそろそろ大激変が起きる可能性が出てきたかな、という気がしています。

ずばり私の直感ですが、古い名前の政党が刷新される時が来た、とみています。そして70歳代の陰のドンが牛耳るといういかにも昭和チックでブラックボックス的な政治は30年も時代遅れだということを政治家がようやく気がついてきたと思うのです。

野田代表・斎藤代表・玉木代表・石破首相 各党・首相官邸HPより

私は自民党や公明党が悪いとは言いません。ただ、支持したくなる素地が欠けてきたと思うのです。理由は図体がデカく、党の歴史が長いことに執着し、挑戦する姿勢に欠け、前例主義で見えない派閥にいまだに囚われ、意見が集約できず、官僚との阿吽の呼吸こそ自分たちの能力だと勘違いしている、そのように感じるのです。ぼろくそに書いていますが、実際にぼろくそだと思います。

今、最大のテーマになりつつある消費税の見直し。時限を切って部分的に減税するという案が野党を中心に出されていますが、石破首相はあっさり否定しました。石破氏が否定したというより森山幹事長の頑なな姿勢を崩せなかったということだと思います。では森山氏は何を問題にしているかといえば減税分を補う財源です。

それに対して国民民主は赤字国債を出せばよいと言っています。私はそんな簡単な図式では財務省はうんと言わないと思います。玉木さんが言っていることは物価高で生活が苦しいなら借金して楽にすればよいという話です。家計が苦しいからサラ金を借りよといった短絡的な発想で自分の家族を養いたいですか?違うでしょうね。

私は家族総出で働きましょう、だと思うのです。とすれば働くことの意義と価値観を引き上げ、より果実を手にしやすい税制に変えることが政治家の役割だと思うのです。日本の場合、個人所得に対する所得税よりも社会保障費が高すぎると思います。特に健康保険料は尋常ではありません。病院とクスリに頼りすぎる国民性を根本から変えていかねばならないのですが、それをやる気は全く見えません。カナダのように医療費も出産も手術も無料でできる仕組みと何が違うのか、政府や厚労省は研究すべきでしょう。

次に海外からの直接投資をもう少し受け入れるなど「稼ぐ政府」になるべきです。法人税収入をどうやって引き上げるか、その戦略がなさすぎます。一方、中小企業が税金を払えないと言いますが、税金を払わない=赤字=会社存続の疑義のはずです。ところが実体はまるで違い、中小企業のオーナーは税金を払わないよう無謀な消費や家族など不労者への給与支払いで税金対策をします。私の知り合いは2千万円ぐらいのクルマを購入し、決算直前に1800万円で売って200万円の損失を計上するといった阿呆な細工をしています。

消費税を引き下げるもう一つの財源は日本の資産の取り崩しです。政府は歳入と歳出という収支のみで議論を完結させようとします。では日本の資産はどうなっているかといえば財務省のみならず、各省庁が自分の権益を抱きかかえ、見せず、独り占めし、ウッシッシとなっています。おかしいでしょう。全部崩せとは言いませんが、まずは縦割りをなくし、一元管理をし、その上でこのような事態の際に使えばよいのです。

コメ価格が高いから政府が重い腰を上げて備蓄米を放出し、海外からも輸入米が入り価格高騰がようやく止まりつつあります。これなども政府が持つ資産である備蓄米を抱きかかえていたからここまでトラブるわけです。では減った備蓄米をどうやって補填するか、と言われたらカリフォルニア米で備蓄したらいいじゃないか、と思うのです。高級な日本米を備蓄する必要はないのです。発想の転換です。

野党はまとまりがないとされます。事実そうです。ただそろそろガラガラポンして口先だけの野党から本当に努力して考えて、国家のため、国民のためになる改善、改革ができる人たちにリーダーシップをとってもらったほうが良いと思うのです。つまりすべての政党は責任政党の意識を持ち、「国会ヤジ党」から脱皮すべきです。野党のレベルをあげよ、ということです。

もちろん、高齢者を中心とした保守系の方々からはそのプロセスにおいて「だから言ったこっちゃない」「能力なし!」「野党になんて任せなければよかった」という赤ん坊が泣きわめくようなクレームはあるでしょう。ただその茨の道を乗り越えないと日本は世の中の進歩や変化に対応できないと思うのです。

日本は素晴らしい国だと思います。ただ、後世のためにもガラパゴス化させるべきでもないのです。世の中には地球規模の趨勢があり、国際情勢があり、世界経済があり、日本はその枠組みから外れることはないのです。ならば世界がどうであれ、日本は日本という発想は好きだし大事ですが、時と場合によると思うのです。そう考えると変われない自民党に任せるより連立与党の組み換えを含めた変化により期待したくなるのです。

6月の都議会選はその前哨戦となるでしょう。第一党の自民党が維持できるのか、都民ファを含めた大乱戦が起きるのか、参議院選の動向を見るには極めて重要な選挙になりそうです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年5月16日の記事より転載させていただきました。

会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。