JA全中(全国農業協同組合中央会)の山野徹会長は15日、アメリカとの関税交渉について赤沢亮正経済再生担当大臣と面会し、農業を犠牲にするような交渉は到底受け入れられないと強く申し入れました。
赤沢大臣に要望書を提出するJA全中幹部
今回の交渉では、アメリカからの自動車関税を回避するためには、コメの市場開放を受け入れるしかないというのが現実です。しかし、「地方創生」を掲げる鳥取選出の首相にとって、コメを犠牲にする判断は難しい状況です。もしコメを守れば、日本の自動車に25%の関税がかかり、日本経済全体に大きなダメージが及ぶおそれがあります。
現在、コメの価格は5kgあたり4000円を超えていますが、JAはこれを「決して高いとは思わない」としています。農協が流通をほぼ独占している立場からすれば歓迎すべき価格かもしれませんが、家計を預かる消費者にとっては大きな負担です。
備蓄米の効果がほとんど現れていないことに対し、全国農業協同組合中央会(JA全中)の山野徹会長は、13日の記者会見で現在のコメ価格について「決して高い価格とは思っていない」と述べています。消費者の意識と甚だしい乖離が見られます。
一方、政府は物価高騰対策として、今年4月から6月にかけて毎月10万トンずつ、計30万トンの備蓄米を市場に放出する方針ですが、これは1年後に買い戻す条件付きであるため、市場の実質供給量は増えず、価格抑制にはつながりにくいと指摘されています。JA農協が備蓄米を卸売業者に十分に回さず、価格の相対的水準を維持しているとの批判もあります。
仮に農家が価格高騰を受けて25年産米の生産を増やしたとしても、政府が61万トンの備蓄米を買い戻せば、供給量が減り、かえって米価がさらに上昇する可能性があります。政府はこうした批判を受けて条件の見直しを検討していますが、価格操作の根幹は依然として流通量のコントロールにあるとされています。
参照:残念ながら来年秋まで「5㎏4200円」が続きます…農水省とJA農協がいる限り「コメの値段は下がらない」そのワケ 山下一仁 プレジデントオンライン
JAの要望に対し赤沢大臣は「農業を犠牲にする交渉は行わない」と述べ、石破首相の方針も紹介しつつ、生産者が安心して農業に取り組める環境づくりが政府の責務であると強調しています。