ジャパンディスプレイ(JDI)は5月15日、国内従業員の半数を超える約1500人の削減を発表しました。対象は正社員と契約社員で、6月から8月にかけて希望退職を募る方針です。また、海外従業員も半減させる予定です。
JDIは、売上高の約3分の2を占める車載向けディスプレー事業を10月に分社化し、外部資金の調達や他社との協業を進める計画です。主力の茂原工場(千葉県)は2026年3月に閉鎖し、石川工場(石川県川北町)に生産を集約します。これにより、年間135億円の人件費削減を目指します。
弱体化した企業を統合しても、期待通りの成果は得られず、今回の結果は予想されたものでした。ジャパンディスプレイには累計で3000億円以上の税金が投入されましたが、それでも業績は改善せず、市場競争に敗れた企業は無理に延命させるべきではないという意見が多く見られます。
業績不振が続いており、2025年3月期決算では最終赤字が782億円となり、11期連続の赤字となりました。スマートフォン向け液晶パネル事業からは2023年に撤退し、現在は半導体やセンサーなど新たな収益源の確立を目指しています。
経営責任を明確にするため、スコット・キャロン会長兼CEOは6月1日付で代表執行役を辞任し、明間純氏が新たに社長兼CEOに就任します。キャロン氏は取締役会長として残ります。
JDIは、2012年にソニー、東芝、日立の液晶事業を統合して設立された中小型液晶メーカーで、「日の丸液晶」として期待されてきましたが、中国メーカーとの競争などにより苦戦が続いています。今後は車載分野に注力し、再建を進めていく方針です。
こうした状況にもかかわらず、経産省は次の国家プロジェクトであるラピダスに対しても巨額の税金を投じており、その判断の危うさを懸念する声が高まっています。