いわき信用組合、顧客名義を無断使用で10億円超の不正融資の泥沼

福島県いわき市のいわき信用組合が、預金者に無断で名義を使用し架空の口座を作成、その口座に融資を装って資金を流出させていた疑いがあることがわかりました。信組内ではこの資金を「B資金」と呼び、大口取引先の不良債権を隠すための肩代わりに使っていたとされます。

こうした不正は少なくとも10年以上続いており、関係者によると、偽造口座は約90に上り、融資総額は17億円を超えるとみられます。印鑑も90本ほどが保管され、12店舗ごとに分けられていたとのことです。融資は本店で偽造した書類をもとに支店で実行されていました。

いわき信用組合本店営業部 Wikipediaより

福島地裁いわき支部は今年2月、組合員の申し立てを受けて証拠保全を行い、融資残高リストや印鑑などを押収しました。いわき信用組合は昨年11月に不正の発生と第三者委員会の設置を公表していましたが、なぜ今になって報道が注目されているのかは明らかではありません。

いわき信用組合は調査結果の公表前につき回答を控えてると回答しています。金融庁は厳正に対処する方針で、業務停止や地元地銀への吸収が検討される深刻な事態となっています。信組業界だけでは対応困難と見られています。

この不正は、2008年から2011年ごろにかけて、当時の経営陣が資金繰りの苦しい融資先を救う目的で始めたと見られています。死亡した預金者名義を使って借り入れが行われたケースもあり、預金者が知らぬ間に「借金」を負っていた実態も明らかになっています。

元職員らの証言によれば、上層部の指示のもとで不正が行われており、組織的な関与が疑われています。

現在、第三者委員会と金融庁が調査を進めています。

いわき信用組合は1948年に設立され、2024年9月時点で預金残高は2110億円、貸出金は1239億円、いわき市を中心に15店舗を展開しています。