トランプ大統領は、原子力発電の拡大を目指し、原発規制を大幅に緩和する大統領令に署名しました。とくに、小型モジュール炉(SMR)の導入を促進し、AIや軍施設向けの電力需要に対応する方針です。
NRC(原子力規制委員会)に対しては、新規原発の認可を18カ月以内、既存原発の延長は12カ月以内に決定するよう求めています。
トランプ大統領 ホワイトハウスXより
注目されるSMRの普及を軸に、人工知能(AI)や軍関連施設の電力需要に応える狙いです。国有地での建設や停止原発の再稼働も後押しし、25年で原発の発電能力を4倍にする方針です。
また、99%を輸入に頼るウラン燃料の内製化も進める方針で、AIの普及による膨大な電力需要を国家安全保障の観点からも支えるとしています。
グーグルやアマゾンも原子力発電への投資を始めており、民間の動きも加速しています。
AIの電力需要増に対応するエネルギー政策を安全保障と位置づけ、中国への対抗姿勢も鮮明にしています。その中国は、5カ所で10基の原子力発電所建設を認可しており、総投資額は約4兆円に上ると言われています。石炭依存を減らすため原発を推進し、2030年までに発電容量で世界最大になる可能性があります。
一方、日本では東京電力が再建計画の見直しを先送りし、経営が厳しさを増しています。柏崎刈羽原発の再稼働が進まず、巨額の事故処理費と電力小売り競争により資金繰りが悪化しています。地元の理解も得られず、政府の支援があっても抜本的な打開策は見えていないようです。
また、原子力政策および電力の安定供給をめぐる対応の違いが、日米で際立っています。