晴海フラッグSKY DUOに漂う「お金の匂い」

晴海フラッグの交差点にいつもは見かけることのない怪しげなサンドイッチマン(写真)が立っていると思ったら、地元の不動産仲介会社の広告宣伝の人たちでした。社員と思われる人たちがプラカードを持って立ちながらチラシの配布をしています。

晴海フラッグでは、タワー棟のスカイデュオ(SKY DUO)の竣工・引き渡しが始まり、転売したい購入者をターゲットに現地でドブ板営業をしているようです。

晴海フラッグをはじめとする湾岸のタワマンの仲介には、三井、住友といった財閥系だけではなく野村、東急などの大手不動産会社も積極的に参入していますが、新聞折込やポストにチラシを配布する上品な手法が主流です。

プライドがあるのか、この会社のような下品で泥臭いマーケティング活動(笑)はやらないようです。もしかしたら社員のインセンティブが違うのが理由でしょうか?

スカイデュオの転売価格は2億円を超えるものがほとんどと思われます。仲介手数料を売り手と買い手の両方から取れれば(両手)、合計で約6%ですから1,200万円です。

賃貸物件を紹介する街の不動産屋さんが小魚を扱う漁師だとすれば、こちらはマグロの大物を狙う青森の大間の漁師のような狩猟民族型の仕事です。

もらったチラシによれば、この地元の不動産ブローカーは晴海フラッグの売買の仲介を今年の4月までに48件成約した実績があるそうです。

一件2億円とすれば、仲介手数料はざっくり片手で約3億円 両手だと約6億円です。これはやめられません。

今回のように一斉に引き渡しで入居者が現地にやってくるタイミングは彼らに取っては稼ぎ時です。効率よく所有者に対してアプローチすることができるからです。

一次取得者の全員が買った価格よりかなり高い価格で売却することができます。元々転売目的で購入した人も少なくないと思いますから、早速売却する購入者もいるはずです。

ファミリー層が集まるほのぼのとした集合住宅エリアで、このスカイデュオの周りだけは不動産ブローカーのギラギラとしたお金の匂いを感じる別世界になっています。

この異様な熱気が収まるのはいつになるのでしょうか?


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年5月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。