トランプ米大統領は5月30日、鉄鋼とアルミニウム製品に対する輸入関税を現行の25%から50%に引き上げると発表しました。発動は6月4日を予定しています。
発表はペンシルベニア州のUSスチール製鉄所での演説で行われ、日本製鉄の森高弘副会長兼副社長も同席しました。
トランプ大統領 ホワイトハウスXより
トランプ大統領は、関税の引き上げによって米国の鉄鋼産業がより安定すると強調し、25%では他国が対応可能だが、50%になれば対応は困難になると述べました。
https://twitter.com/Market_Letter_/status/1928595582714581446
関税引き上げは米国産鉄鋼の競争力強化が目的ですが、報復関税の懸念もあります。アメリカの法的にはこの措置は禁じられていないようです。
米国は鉄鋼の約3割を輸入に依存しており、関税引き上げで自国製品のシェアが拡大するかは不透明です。2024年の日本からの鉄鋼輸出額は約3026億円(全体の1.4%)、アルミは約245億円(0.1%)でした。関税で国内価格が上がれば製造業者の利益は増えますが、素材を使う企業の競争力は低下し、米製造業全体に悪影響を与える恐れがあります。
USスチールを完全子会社化する日本製鐵の対応がますます注目されます。
https://twitter.com/euroseller/status/1928847961729151387
トランプ政権の鉄鋼関税引き上げは、中国を意識して軍備体制を強める一貫した流れがうかがえます。
米国際貿易裁判所は一部の関税政策を差し止めましたが、上級審が執行を一時停止し、鉄鋼関税は対象外とされています。今回の関税引き上げは通商交渉に影響を与える可能性があり、市場では「混乱」とも受け止められています。