自民党の森山裕幹事長らは、農家の所得向上と農業の構造改革を目的として、今後5年間で約2兆5000億円の追加予算を確保するよう求める決議を石破総理大臣に提出しました。
この決議は、政府が4月に決定した農業政策の基本計画を踏まえたもので、2030年までにコメの輸出量を現在の約7.5倍にあたる35万3000トンに増やすことなどを盛り込んでいます。農業従事者の減少が続く中、「今、動かなければ手遅れになる」として、農業改革への強い危機感が示されています。しかし、こうした決議に対して批判の声が上がっています。
森山裕幹事長 自民党HPより
コメの年間生産額が約1.2兆円とされる中で、それを上回る2.5兆円の予算を投入することは常軌を逸しています。
農政の失敗によって価格高騰や供給不足が生じたにもかかわらず、その責任を棚上げにして追加予算を求める姿勢は「火事場泥棒ではないか」とする批判も見られます。
また、こうした政策が自民党支持基盤への利益誘導であるとの見方もあり、「米の不足や価格高騰は、政策実現のために意図的に仕込まれたのではないか」といった疑念までささやかれています。
自民党の鈴木憲和副大臣(衆院山形2区)は、備蓄米の放出に疑問を示し、まず全国民に行き渡る物価高対策を優先すべきだと主張しました。これに対し、自民党が農業利権を守り、農政の失敗を認めない姿勢への批判があり、ミニマムアクセス米77万トンの放出を求める声が上がっています。
一方、社会学者の古市憲寿氏が「なぜ農業だけ守るのか」とテレビ発言したことに対し「批判が殺到している」と報じられていますが、実際には農業問題そのものに国民の関心が薄れている現状も否めません。こうした状況の中で、政策は30年前の発想に戻っているのではないかという疑念が広がります。