パリ国立オペラ座「清教徒」

パリ国立オペラ座、ベッリーニ「清教徒」。

ワグネリアンなのであまりイタリアオペラ観ないのだけれど(歌の美しさの前に、オーケストラ(曲)の美しさが欲しい)、ベル・カント系オペラ大好きな友達に付き合って、ゴー。

思いがけず、とてもよい公演♪

音楽&オーケストラ&指揮者は、まあまあ。合唱は、いつもどおりよし。

パリ国立オペラ座、合唱はいつも安定の上手さだとおもう

素晴らしいのは、演出&セット。演出&衣装は、ローラン・ペリー(ロラン・ペリー)。ちょっとファンタジーでしゃれてて、テンポよく小気味いい。ペリーとよく組んでいる、シャンタル・トマのセットは、繊細な鉄のレース、なイメージ。透明感とか軽やかさもいいし、照明との関係性もとてもきれい。

全体的に、ちょっと幻想的でファンタジー、そして透明感あって、「清教徒」という名前のオペラの世界観に合ってる。コンテンポラリーな雰囲気出しつつも時代設定とのつながりもちゃんとしてて、上手にできてる。
ここ15年くらいのワーグナー(やシュトラウス)は、チープ&ひどい&汚い&血&裸な演出と暗い舞台、がデフォルトかと思うくらいろくな演出がないので、こういうの見ると、ホッとする。

歌手は、エルヴィラのリゼット・オロペサ、お見事!個人的に好きなタイプの声ではないのだけれど(ちょっとコロコロしすぎる)、この役にはぴったりな声質だし、もちろん上手だし、演技力もとてもいい。リサイタルでしか観ていなくてピンときていなかったけど、こういう役ならまた聴きたいな。

サー・ジョルジオ(おじさま)のロベルト・タリアヴィーニもブラーヴォ!臨場感と深みと説得力ある歌唱で、とてもいいバリトン。

他の歌手たちもまあまあ(アルチュロの演技が下手なのが、もったいなかった…)、合唱はいつもながらになかなかよいしで、全体的にとてもいい公演。

今宵のヒロイン
リセット・オロペサ
リセット?リゼット?どっちだろう?

タリアヴィーニも素晴らしかった!
お父さん役の歌手と似ていて(左後ろに見えてる人)、兄弟設定にぴったり

お友達大満足、私も満足。アントラクト&終演後は「カフェ・フランセ」で、よい舞台を祝して何度も乾杯。コスト系の細いフリット、好き。

前夜、「ラインの黄金」の新作を観る予定だった。のに、まさかの体調不良で泣く泣くバスティーユ行きを諦めた。よかった、今日は体調戻ってて。元気が一番。


編集部より:この記事は加納雪乃さんのブログ「パリのおいしい日々6」2025年2月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「パリのおいしい日々6」をご覧ください。