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「〇〇年勤めた△△を辞めます」
「〇〇を退職して■■に転職します」
ブログやTwitter、FacebookなどのSNSなどに投稿される「退職エントリー」をご存じでしょうか。退職理由や背景などを文章にまとめて、退職者がインターネット上に投稿する行為を指します。転職だけでなく起業するための決意を綴るケースもあります。
退職エントリーを書く理由
退職者が「退職エントリー」を書く理由は実に多様です。最も一般的なのは、SNSでつながっている知人や友人への近況報告でしょう。しばらく会っていなかったり、そもそも面識がなかったりする人とも繋がっている現代において、大きな節目である転職を報告することは自然な行為といえます。
同時に、お世話になった会社や同僚への感謝を伝える場としても活用されています。
また、自身の成長を時系列で振り返り、どのような経験を積み、どのような思いで次のステップに進むのかを整理する機会として退職エントリーを書く人も多くいます。
入社してからのキャリアを丁寧に振り返ることで、自分自身の成長を確認し、次の挑戦への決意を新たにすることができるのです。
フリーランスになる場合は、これまでの実績をまとめるポートフォリオとしても機能し、新たなクライアントへのアピール材料にもなります。
突然の退職による憶測や誤解を避けるために、関係者に対して透明性を持って説明する手段として退職エントリーを活用するケースもあります。
特に影響力のあるポジションにいた人や、プロジェクトの途中で退職する場合などは、きちんとした説明をすることで、残された人々の不安を和らげることができます。
退職エントリーを書く前に
退職エントリーを書く際には、いくつかのポイントがあります。大切なのは、バランスの取れた視点を持つことです。具体性と客観性を重視することも欠かせません。
主観的な感情論に終始するのではなく、具体的な事実に基づいた記述を心がけることで、読者が状況を正確に理解できるようになります。
また、どのような退職理由であっても、共に働いた仲間や組織から得た学びに対する感謝の気持ちを忘れてはいけません。
人は一人では成長できません。上司の指導があり、同僚の支援があり、会社という環境があってこそ、さまざまな経験を積むことができたはずです。その恩恵を認識し、感謝と敬意を示すことは、人として大切な姿勢です。
守秘義務と個人情報への配慮も欠かせません。内部情報や営業秘密はもちろん、個人を特定できるような情報は避けるべきです。
退職後も守秘義務は継続しますし、不用意な情報開示は法的なトラブルに発展する可能性もあります。また、特定の個人を批判するような内容は、たとえ事実であっても避けるべきでしょう。
問題点を指摘するだけでなく、「こうすればより良くなるのではないか」という提案を含めることで、単なる愚痴や不満ではなく、建設的な議論のきっかけを作ることができます。
注意すべき落とし穴
退職エントリーを書く際に陥りやすい落とし穴もあります。感情的になって冷静さを欠いた批判や個人攻撃をしてしまうと、自身の評価を下げるだけでなく、場合によっては名誉毀損などの法的なトラブルに発展する可能性もあります。
退職直後は感情が高ぶっていることも多いので、少し時間を置いて冷静になってから書くことをお勧めします。
実績を誇張したり、事実と異なる内容を記載したりすることも避けるべきです。インターネット上の情報は半永久的に残りますし、嘘や誇張はいずれ明らかになります。
新天地への期待を述べることは自然ですが、前職と比較して優劣をつけるような表現は避けましょう。「前の会社はダメだったが、次の会社は素晴らしい」というような比較は、両方の会社に対して失礼にあたります。それぞれの組織には独自の文化や価値観があり、単純に比較できるものではないからです。
尾藤 克之(コラムニスト・著述家)
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