米国政府がUSスチールを事実上の国有化?:「黄金株」で経営を掌握

アメリカの鉄鋼大手U.S.スチールを買収予定の日鉄(日本製鉄)に対し、米国政府が「黄金株(ゴールデン・シェア)」の保有を通じて経営に強い影響力を持つ可能性が浮上しています。NHKの報道によれば、米政府は国家安全保障上の観点から、買収後もU.S.スチールの重要な意思決定に関与できるよう、特別な株式の取得を検討しているといいます。

米国のラトニック商務長官はXの投稿で「黄金株」の概要について説明しています。

トランプ大統領は、日本製鉄によるUSスチール買収の一環として、永久黄金株を確保しました。米国と日本製鉄のこの提携には、日本製鉄によるUSスチールへの歴史的な140億ドルの投資が含まれており、この戦略的かつ象徴的な米国企業を活性化させ、米国における鉄鋼生産を拡大することが期待されます。 米国がUSスチールで保有する黄金株には、アメリカ、ペンシルバニア州、USスチールの優秀な鉄鋼労働者、そして国内生産の鉄鋼へのアクセスを大幅に拡大することになる米国の製造業者に直接利益をもたらし、彼らを保護する強力な条件が付されている。

この永久ゴールデンシェアは、米国大統領またはその代理人の同意なしに、以下のいずれの事態も発生しないように防止します。

• US Steelの本社をペンシルベニア州ピッツバーグから移転する。
• 米国外に居住している
• 社名をUSスチールから変更
• USスチールへの短期投資140億ドルを削減、放棄、または延期する
• 生産や雇用を米国外に移転する
• 安全やアップグレードなどの通常の一時的な休止期間を除き、一定の期間前に工場を閉鎖または休止。
• 従業員の給与、反ダンピング価格設定、米国外での原材料および調達、買収などに関するその他の保護。

この歴史的なパートナーシップを締結した大統領、USスチール社、日本製鉄に祝意を表します。 取引の芸術。

この黄金株は、通常の株主権とは異なり、経営陣の人事や事業売却などに対して拒否権を行使できる強力な権限を持ちます。これにより、日鉄が形式上は親会社であっても、実質的な経営の主導権は米政府が握る構図となりかねません。

日鉄はU.S.スチールの完全子会社化を目指してきましたが、同社が米国政府の関与によって事実上の「国営企業」となることで、むしろ安全な投資先としての魅力が高まる可能性があるのではないでしょうか。

しかし、U.S.スチールが事実上の国営企業となることで、市場原理の影響を受けにくくなり、かえって競争力が損なわれる懸念があります。

https://twitter.com/check0207/status/1876668271287783434

相互関税や官僚機構のリストラをめぐって各方面から批判を受けているトランプ大統領ですが、「米国の製造業を守る」という公約については、日鉄との合意を通じて成果をアピールできる可能性があります。

トランプ大統領 ホワイトハウスXより