カナダで開催中のG7サミットにあわせて行われた日米首脳会談では、石破茂首相とトランプ米大統領が関税交渉をめぐり協議を行いましたが、最終的な合意には至りませんでした。焦点となったのは、自動車を含む関税の見直しであり、日本側は25%の追加関税の撤廃を強く求めましたが、米側の応じ方は限定的でした。
それでも今回の会談は、両首脳の信頼関係の構築が着実に進んでいることを印象づける機会となりました。トランプ氏は今年に入り、石破首相と複数回の電話会談を行っており、先日はトランプ氏が石破氏に突如電話をかけ、自慢話をし始めたことも報じられています。こうした異例のやりとりは、両者の間にある程度の信頼と対話の意思があることを示唆しています。
石破首相は会談後、「双方の認識が一致していない」と述べつつ、「国益でそれを守るため最善の努力を重ねる」と強調しました。今後は担当閣僚レベルでの協議が続けられる予定です。
また、トランプ氏が石破政権を「タフ」であると表現したことは、石破氏の手腕が米国側から一定の評価を受けていることを示しているといえます。
G7カナナスキス・サミット 首相官邸HPより
今回の「合意なき交渉」には、石破首相の慎重かつ堅実な交渉姿勢が色濃く表れていると見る向きもあります。トランプ氏との信頼関係を土台に、次なる局面でいかなる打開策を見せるのか。引き続き注目が集まります。