日本郵便では、全国の郵便局のうち75%にあたる2391局で、配達員への飲酒や健康状態の確認といった点呼を適切に行っていなかったことが明らかになりました。調査の結果、2024年1月から3月上旬にかけて実施すべきだった点呼のうち、約10万2000件が記録改ざんされていたことも判明しました。
これを受け、日本郵便は千田哲也社長の報酬を3か月間40%減額し、計11人の役員を処分することを発表しました。また、点呼不備があった郵便局の局長や点呼責任者らも懲戒処分となります。
日本郵政HPより
さらに国土交通省は、日本郵便が保有する約2500台のトラックやバンについて、運送事業の許可を取り消す方針を示し、日本郵便はこれを受け入れる意向を表明しました。
許可が取り消されると、これらの車両は5年間配送に使えなくなるため、同社は他社への委託などで対応する方針です。
背景には、点呼をめぐる内部通報が2022年から複数回寄せられていたにもかかわらず、会社側が真剣に調査せず放置していたことがありました。点呼の不適切な運用は、郵政民営化後の2007年から続いていた可能性があるとされています。
また、点呼の実施方法に関する誤ったマニュアルや、管理体制の甘さ、ガバナンスの欠如など、組織的な問題も明らかになっています。この問題について、林官房長官は「信頼を損ない極めて遺憾」と述べ、日本郵便に対して再発防止とガバナンス強化を強く求める姿勢を示しました。
一方、こうした不祥事が続く中で、自民・公明・国民民主の3党は郵便局への多額の公的支援を含む法改正案を国会に提出しており、野党からは「郵政お助け法案」として批判の声も上がっています。