小泉進次郎農相、JA全中と対決姿勢鮮明:既得権益を打破する突破口となるか

小泉進次郎農水相は、JA全中が東京・大手町の本部ビルを一部売却する方針に対して、「農家が東京の一等地にビルを持つことを望んでいるとは思えない」と発言し、JA組織の在り方に疑問を呈しました。これは、システム開発の失敗で200億円規模の損失を出したJA全中が、その穴埋めのために所有フロアを不動産投資信託(REIT)に売却しようとしている件に関するものです。

https://twitter.com/valuefp/status/1935610330715185206

小泉農相は農協の本来の役割を「農家にできるだけ安く資材を供給すること」と位置づけ、ビルの所有よりも現場支援を優先すべきだと指摘しました。こうした姿勢は、既得権益にしがみつく農協の構造を変える意志の表れといえます。

小泉進次郎氏 自民党HPより

また、小泉農相は就任直後から備蓄米の随意契約による放出を打ち出し、従来の高値入札方式を廃止しました。これにより、安価な米が小売店に供給され、全国的な米価の引き下げに貢献しています。この方針転換は財務省との連携に基づいたものであり、旧態依然とした農水省やJAの抵抗を乗り越えたものです。

一方、JAや農林族議員は米価の高止まりを維持するため、事実上の価格統制を行っています。結果として、JAは自らの立場を守るために市場供給を絞る可能性が高く、備蓄米放出による米価下落の効果を事実上打ち消す構図となっていました。農協を支持基盤とする農林族も同様に、米価引き下げを阻む圧力団体と化しており、実態として消費者利益を無視する姿勢が目立ちます。

かつて強大な影響力を誇った農林族も、小選挙区制の導入や農業人口の激減により力を失いつつあります。それでも今なお、JAの意向を代弁するような発言を続ける議員は存在します。5月には森山裕幹事長が「米価は安ければいいというものではない」と発言し、JAの姿勢に同調しました。

小泉農相が掲げる改革路線は、既得権益との正面衝突を辞さない姿勢であり、かつての郵政改革を彷彿とさせます。

一方で、小泉農相の方針は、結局のところ農林水産省の権限を拡大しているに過ぎないという批判もあります。

JAという巨大組織が農業界の健全な競争と変革を妨げている限り、農家も消費者も真の恩恵を受けることはできません。小泉農相が掲げる「JAに忖度しない農政」が、既存構造を打破する突破口となることが期待されます。