国営造船所の前に潜水艦の事業統合だろ

「国立造船所」建設を検討政府・自民、造船業復活へテコ入れ 日経新聞

「国立造船所」建設を検討 政府・自民、造船業復活へテコ入れ - 日本経済新聞
政府・自民党は国内の造船業を復活させるための政策パッケージを策定する検討に入った。国が造船所を新設・再建し、既存の造船設備の更新などを担うことで建造能力を増強する案が浮上する。同じく造船業の再建をめざす米国への協力を視野に国内の産業基盤を整える。自民党の経済安全保障推進本部(小林鷹之本部長)が20日、石破茂首相に国内造...

政府・自民党は国内の造船業を復活させるための政策パッケージを策定する検討に入った。国が造船所を新設・再建し、既存の造船設備の更新などを担うことで建造能力を増強する案が浮上する。同じく造船業の再建をめざす米国への協力を視野に国内の産業基盤を整える。

提言の柱は国が造船所の建設・整備を主導する「国立ドック」構想だ。防衛生産基盤強化法や経済安全保障推進法の規定に基づいて国が造船施設を建設・取得し、民間に運営を委託する「国有施設民間操業」の仕組みを活用する想定だ。

経済安保推進法の特定重要物資に「船体」を指定することも提起する。安定供給が欠かせない物資として輸送船や艦船を財政支援の対象とし供給網の強化を図る。

当面必要な投資額として官民で1兆円規模を想定し、設備投資に活用できる基金の創設を検討する。秋にも編成される2025年度補正予算案への計上を視野に入れる。

国交省によると、23年の日本の建造量は1005万総トンと5年前に比べ31%減少した。中国が3148万総トン、韓国が1835万総トンと同期間でそれぞれ3割程度伸ばしたのとは対照的だ。日本国内の船台やドックなどの建造設備は18年の194から24年に178まで減った。

提言をとりまとめた経済安保推進本部の小林本部長は「他国に過度に依存することなく、自律的に物の輸送を行えるよう海事産業全体の再生をめざす」と説明する。官民が連携し、投資拡大のための戦略的な政策を打ち出すことが重要だとの認識を示す。

大きい政府志向の話では全然ダメですよ。まずは造船会社の事業統廃合ですよ。中国や韓国に負けたのは、それができなかったから。極論を言えば、今治や常石あたりを合併させて、すべての造船所をその傘下に入れるべきですよ。

まずは潜水艦の事業統合ですよ。隣り合わせで神戸にある三菱重工と川崎重工が、それぞれ同じ潜水艦を作っている。そして微妙に設計も異なる。事業を統合すれば、管理も一つにまとまって人員も削減できる。また、不要なベンダーも削減できて、生産性が上がります。何なら一つ潰してもいい。これが例えばリスク回避だというならば、片方が神戸、片方が川崎とかならまだわかりますが、隣ですから。

そもそも16隻で潜水艦を廃棄してきたのは、造船学や軍事上の合理性ではなく、単に二つの造船所を維持するためだけでした。二つのドックを維持するならば、輸出を前提にすべきでしょう。例えば、ドイツのような小型の潜水艦を作って売ればよろしい。やたらに大きいだけの日本の潜水艦は売れません。武器輸出の原則を変えるべきです。

護衛艦や軍艦も同じ。さらなる事業統合が必要です。それが嫌なら、輸出できる環境をつくって、メーカーにもそれを飲ませるべきです。現在は実質的に防衛向けの国営企業ですから、性能もコストも向上しません。輸出市場でもまれないと、海幕や装備庁の頭がおかしいレベルの要求も変わらないでしょう。

官民造船所は、まずは事業統合を民間に促して、国営造船所の話はそれからです。それも国営ではなく、政府も出資した株式会社にして、黄金株を政府が持てばいいだけです。そうして経営の透明性と外部からの監視をしないと、衰退するだけです。

現状で国営造船所をつくって金をばらまくのであれば、税金を使って造船業界を甘やかし、弱体化させるだけです。それで喜ぶのは中国と韓国です。日本人の税金を浪費して中韓の利益を図ることは、国益とは言いません。

海上自衛隊HPより

防衛大臣記者会見|令和7年06月13日(金)で質問しました。
https://www.youtube.com/watch?v=BX64YTsuBIU
12日の陸幕長、空幕長会見で質問しました。
6月12日陸幕長会見での質問。
https://www.youtube.com/watch?v=6yUSZHIIYls
空幕長会見2025年6月12日
https://www.youtube.com/watch?v=kNHiSikwqqs

Japan In Depthに以下記事を寄稿しました。
陸自に迫撃砲の運用能力はあるのか
https://japan-indepth.jp/?cat=38

Note に有料記事を掲載しました。
内張り装甲とスポールライナーの区別がつかなかった防衛省とJSF君
https://note.com/kiyotani/n/n5f35d980fc82

東洋経済オンラインに寄稿しました。
墜落事故の「搭乗員らしきもの」発言は謝罪したが…事実誤認は訂正しない防衛省の”二重基準”


防衛破綻 – 清谷 信一


専守防衛 – 清谷 信一

財政制度分科会(令和6年10月28日開催)資料
防衛
防衛(参考資料)

財政制度分科会(令和6年10月28日開催)資料
防衛
防衛(参考資料)


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2025年6月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。