2025年のニューヨーク市長選に向けた民主党予備選で、進歩派のズォール・マムダニ州下院議員が、かつての有力政治家であるアンドリュー・クオモ元州知事を破り、民主党の公認候補となりました。若き移民2世のマムダニ氏が、長年政界で影響力を持っていたクオモ氏に勝利したことで、ニューヨークの政治の風向きが大きく変わった形です。
マムダニ氏は、ウガンダ出身のムスリムの両親のもと、ニューヨーク市クイーンズ区で育ちました。自らを「民主社会主義者」と称し、社会主義的政策を掲げる急進左派の政治家として知られています。
ゾーラン・マムダニ氏Xより
今回の選挙では、家賃の上限設定、市営バスの無料化、さらにはスーパーマーケットの公営化といった政策を主要な公約に掲げました。また、SNSを積極的に活用した選挙戦を展開し、若者や労働者層を中心に幅広い支持を獲得しました。
また、民主党予備選の主要な争点のひとつとして、イスラエルへの対応が注目されました。マムダニ氏は、ガザ情勢を踏まえて、イスラエルへの軍事支援を停止するよう訴え、アラブ系や進歩派の有権者の強い支持を受けました。一方のクオモ氏は、従来のイスラエル寄りの立場を崩さず、主流派層への訴えを試みましたが、時代の変化に対応しきれなかった印象を残しました。
昨日ニューヨークで「インティファーダを世界規模で」というスローガンを否定せず、トロツキスト的な経済政策を主張した候補者が指名されたことで、私は@DNCと国の将来について深く憂慮している。 これは、我が党が英国労働党の最も問題のある側面を踏襲している証拠ではないかと危惧しています。英国ではうまくいかなかったし、米国でももうまくいかないでしょう。
@Harvardおよび他の大学が10月7日以降、憎悪、反イスラエル、さらには反ユダヤ主義的な言論や活動を容認した道徳的弱さが、オーバーンの窓を開き、昨日の結果につながる結果となった。
本選では、汚職容疑で起訴され、民主党予備選からの出馬を断念した現職のエリック・アダムス市長が、無所属で出馬する構図となります。アダムス市長は、黒人有権者や中道層に一定の支持を残していますが、スキャンダルによるイメージ悪化は否めません。マムダニ氏との対決は、世代・政策・価値観のすべてにおいて、激しい戦いになることが予想されます。
深刻な住宅難や著しい住居費の高騰、食料など生活必需品のインフレが市民生活を直撃するなか、ニューヨーク市民は今、進歩的な制度改革を選ぶのか、それとも現職の継続路線を支持するのか、歴史的な選択を迫られています。暮らしの根幹にかかわる問題にどう応えるかが、次期市長に問われることになります。