トランプ大統領、日本との関税交渉について「合意は難しい」:コメを守って自動車を失う?

アゴラ編集部

トランプ前米大統領は7月1日、日本との関税交渉について「合意は難しい」との見解を示し、日本に対して30〜35%の関税を科す可能性を示唆しました。

現在、日本には基本関税10%のみが適用されていますが、9日に失効する上乗せ分14%の停止措置が延長される見通しはなく、日本には計24%の関税が課される可能性があります。さらにトランプ氏はそれ以上の税率も示唆し、圧力を強めています。また、米政権関係者は、当面は日本よりもインドなど他国との交渉に注力するとして、日本との協議を後回しにする方針を示しました。

こうした状況を受け、日本の自動車メーカーはコスト吸収の限界を迎えています。トヨタは7月から平均270ドルの値上げを行い、スバルや三菱も価格改定を実施、マツダも検討中です。輸入コストの上昇や部品・原材料価格の高騰が背景にあり、大手メーカーが吸収してきた構図が限界を迎えつつあります。

販売面でも影響が出ています。6月の米国での日本車販売は前年同月比で2%減少し、駆け込み需要の反動も見られました。在庫も減少傾向にあり、持続可能な価格維持は難しくなっています。そのため、スバルやマツダなどは米国内での生産拡大へ舵を切っており、トヨタも長期的な現地生産体制の強化を進める方針です。朝日新聞のねらい通りの展開になってきたのでしょうか。

また、関税問題は株式市場にも影を落としています。7月1日の日経平均株価は500円以上下落し、自動車株を中心に売りが広がりました。

自動車業種の下落率が他業種と比べて際立っている背景には、対米関税交渉の不調があります。特に、日本が米国産コメの輸入をかたくなに拒んでいることが、トランプ前大統領の不満を招き、自動車への報復的な高関税につながっているのは明らかです。農業保護を優先するあまり、競争力のある自動車産業が標的となり、日本経済全体に打撃を与えるという本末転倒の事態となっています。投資家が自動車株を売る動きを強めているのも無理はありません。

トランプ氏が「9日までに合意できなければ取引は終わりだ」と明言する中、日本政府はぎりぎりまで交渉を続ける構えですが、赤沢大臣は十分な下準備もないまま訪米し、交渉の主責任者とも面会できずに帰国するという失態を演じました。日本側は今なお「何らかの合意」を模索していますが、交渉延長すら見通せない状況に陥ったのは、事前の戦略や根回しを欠いたまま場当たり的に交渉に臨んだ姿勢の結果と言わざるを得ません。

トランプ大統領インスタグラムより