陰謀論にハマりやすい人の特徴

黒坂岳央です。

リアルでもネットでも、陰謀論にハマる人を見かけることがある。

SNSやニュースを中心にロクに根拠もない、デタラメ話はそれこそ毎日のように繰り広げられており、近年の社会分断の一つになっている。直近でいえば「7月5日に世界が滅びる」という話だろう。これ自体はもともと陰謀論ではなかったが、受け取り手が「陰謀論のように解釈した」という事例がある。実際に知人の経営者はそれを聞いて長期で持っていた株を全売却したし、また別の人は「念の為避難を」と仕事をやめて引っ越しをしてしまった。

筆者個人の独断だが、「こういう人は陰謀論にハマりやすい」という傾向を取り上げたい。

Moor Studio/iStock

陰謀論にハマりやすい人

それでは1つずつ特徴を取り上げたい。

1. 単眼思考

陰謀論にハマる人はとにかく「単眼思考」ということだ。

筆者は逆に非常に疑い深い性格をしているので、何を見聞きしても「本当だろうか?」とまずは真偽を確認することから始める。

もちろん、他者を疑うだけではなく自分自身の感覚こそ何より疑う。「自分は今、このように対象を観測しているが、多面的に見て自分の視点に偏りはあるか?」というのはしょっちゅうAIに妥当性を確認するクセがあるほどだ。

陰謀論者も疑う。だが、彼らの視点は一様に単眼的だ。自分が疑った方向を決して曲げない。思考をメタ認知しないので「騙されるもんか!」という強迫観念的な強さがある。ゆえに何をいっても「かわいそうに、あなたも政府にだまされている」という感じで憐れみの目を向けてくる。外野の話が入らなくなればもうどうしようもない。

大小差こそあれ、世の中のあらゆる人は自分の視点で歪んで世界を見ている。認知の歪みから完全に開放されている人などいないという前提でコミュニケーションは取るべきだし、それは自分自身も例外ではない。だが、一度信じ込んだら二度と偏見を取り外せなくなれば、あっさりと頓珍漢なトンデモ論を信じてしまうことに至る。

陰謀論からの開放にはAIの活用がおすすめだ。「あらゆる統計データや科学的見地から自分のこの考えを否定してください」と頼めば冷静さを取り戻せるだろう。「AIはすでにハックされている!」と言い始めたらもうどうしようもないが。

2. 調べすぎ

そして彼らは共通してあまりにも調べ過ぎなのだ。「知的好奇心が強い」といえば聞こえはいいし、その知的体力が学問やスキルの研鑽を磨くことに活用されれば言うことはない。だが、大抵の場合、彼らの好奇心はあまり良い方向には使われない。

どんなニュース、事件にも必ずグレーゾーンは残る。それは情報の非対称性だったり、犯人や関係者しか知り得ない情報というものがあるので、真相は当事者でないとわからない。にも関わらず膨大な余暇時間を使って調べ、拡散することに熱心になる。

筆者も具体的な名称はいえないが、10年ほど前に世間を賑わせた大きいニュースで、当事者本人から直接真相を教わったことがある。その真相は、世間であれこれ言われている陰謀論を含めた考察とはまったく別の場所にあった。

そしてこの答えはどれだけ労力を使ってリサーチしたところで、当事者でなければ絶対にたどり着けない。この経験から学んだことは「外野があれこれ考察しても真実にたどり着けずに徒労に終わる」と。そしてそういう話は世の中にたくさんある。

調べても決して答えにたどり着けない…いやそもそも調べる必要がないことに労力を使うのはムダである。自分の人生を豊かにすること、直接役に立つ自己研鑽に時間や労力を使うべきだろう。陰謀論者は労力の使い方を間違っていることがあるように見える。

筆者も昔は陰謀論を考察するのが好きだった。未解決事件を夢中になって調べ始めて、気がつけば真夜中になることはよくあった。確かに楽しいエンタメではあり、人生の時間を何に使うかはその人の自由である。

だが、「陰謀論を拡散する」というのはまた別次元の一段上の行動となる。7月5日騒ぎでも陰謀論者に触発されたことで、金融資本やその他機会損失を出してしまった人がいる。情報の真偽を判断できる自信がない人はSNSは使わない方が人生は豊かになるだろう。

 

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著書4冊/英語系YouTuber登録者5万人。TBS『THE TIME』など各種メディアで、働き方・キャリア戦略・英語学習・AI時代の社会変化を分かりやすく解説。