「才能」とは報われるかわからないことを継続できるパッション

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挑戦したら確実に報われることがわかっていることであっても、それを続けて達成できる人は一握りです。

 

例えば、ダイエットを続ければ痩せることがわかっていても、途中で挫折してリバウンドしてしまう。

あるいは長期で資産運用を続ければ資産形成ができることがわかっていても、短期的な成果を求めてデイトレで失敗してしまう。

やれば出来ることがわかっていても、続けることには極めて高いハードルがあるのです。

ましてや結果が出るか出ないかわからないものに挑戦し続けることができるのは、ほんの一握りの才能のある人だけです。

棋界のレジェンドである羽生善治さんは才能についてこう語っています。

「報われないかもしれないところで、同じ情熱、気力、モチベーションをもって継続しているのは非常に大変なことであり、私はそれこそが才能だと思っている。」

今週、東京の某所にある長坂真護(MAGO)さんのアトリエに個人投資家コミュニティ「資産設計実践会」メンバーで訪問する機会がありました(写真)。

MAGOさんはアーティストとして活動する中でガーナにあるアグボグブロシーという地域の環境汚染のことを知ります。先進国から持ち込まれた電子ゴミで環境汚染されたスラム地区です。

そこに彼は単身で乗り込みゴミのないスラムを実現しようと行動をはじめます。

捨てられた電子ゴミを使ったアート作品を制作して先進国の人たちに販売する。その利益をガーナに還元してガスマスクを配り、無償の学校を作る。

何の繋がりもないガーナにいる教育の機会も無く環境汚染に巻き込まれる人たちを変えたいというパッションに基づく行動。結果の見えないことへの無謀なチャレンジです。MAGOさんの現地での活動はNHKのこの番組(15分の動画)でも紹介されています。

才能を持った人が何らかのきっかけで大きな課題に出会い、それに熱中する。それがいつしか周囲の人を動かし、社会の問題解決に動き始めるから不思議です。

MAGOさんは「行動こそ真実」と語っています。彼のパッションがガーナ人を巻き込み、アートと資本主義を組み合わせた「サスティナブル・キャピタリズム」と呼ぶ斬新なアイデアで問題解決に突き進んでいます。

MAGOさんはさらに2028年までに現地に1,000人の雇用を生み出すと宣言して、結果にコミットして行動を加速させています。

日本を代表する大企業にも環境問題に取り組む「SDGsおじさん」がいます。スーツにレインボーバッジを付けてアピールしていますが、私には免罪符にしか見えません。

MAGOさんのように行動できない私のような人でも、アート作品を購入することでMAGOさんを後方支援することができます。今回のイベントでもたくさんのメンバーがMAGOさんの活動に共感して作品購入をしてくれました。

MAGOさんの作品を1人でも多くの人に知ってもらい購入するきっかけを作るお手伝いをこれからも続けたいと思います。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年7月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。